[PEM16-P09] あらせ衛星観測に基づくPc5帯ULF波動とホイッスラーモード・コーラス放射の強度変調との対応に関する研究
キーワード:ULF波動、コーラス放射
地球磁気圏の磁気赤道領域で発生するホイッスラーモード・コーラス放射は、波動粒子相互作用を通して、磁気赤道面に存在する高エネルギー電子を地球電離圏に降り込ませる役割を果たしていると考えられている。そのため、地球電離圏での電子密度の変動やオーロラの発光などの現象には、コーラス放射の強度変化が深く関わっていると考えられており、これらの現象について考察する上でコーラス放射の発生機構を理解することは本質的に重要である。コーラス放射の発生機構に関係すると考えられている現象の1つとして、地球の磁気圏で発生する低周波のプラズマ波動であるULF波動が挙げられる。過去の研究では、周期1-10分のPc4, Pc5帯のULF波動とコーラス放射の強度変化の間に対応関係があるということが指摘されている。Li et al. (2011) では、コーラス放射の周期的強度変化はcompressionalモードの Pc4, Pc5帯 ULF波動と対応関係があり、磁気赤道面でULF波動が南向きに振動する際にコーラス放射の強度が増大するという対応関係が報告されている。一方で、Jaynes et al. (2015) では、コーラス放射の周期的強度変化はトロイダルモード・ポロイダルモードのPc4, Pc5帯 ULF波動と対応関係があり、ULF波動の1振動周期の間にコーラス放射の強度が2回極大値を取ることが指摘されている。このように過去の研究では、コーラス放射の強度変化とULF波動の間に、ULF波動のモードごとに異なった対応関係が存在することが指摘されている。
本研究では、コーラス放射の強度変化とULF波動の対応関係について理解することを目的として、あらせ衛星の観測結果を解析する。プラズマ波動・電場観測器(PWE)のOnboard Frequency Analyzer(OFA)と磁場観測器(MGF)の観測データを用いて、2017年3月30日UT04:30-05:30に計測されたイベントに着目する。解析対象とする時間帯には、あらせ衛星は磁気地方時03:00前後、磁気緯度-5°前後、L値6程度の地点、すなわち地球磁気圏の磁気赤道面付近の朝側領域に位置していた。解析の結果、MGFにより観測された磁場波形に周期5-10分の変動成分が見出された。磁場変動の周期から、Pc5帯のULF波動が発生していたと考えられる。また、OFAにより観測された波動電磁場成分のスペクトル解析結果から、kHz帯にコーラス放射の発生が確認された。さらに、MGFとOFAの観測結果の比較から、このULF波動とコーラス放射の強度変化との間に対応関係があることが見出された。すなわち、compressionalモードのPc5帯ULF波動が南向きに振動する時間帯に、コーラス放射の波動強度が増大するという、Li et al. (2011)と一致する対応関係が認められた。本発表では、ULF波動の位相とコーラス放射の発生との対応関係について詳細に解析した結果を報告する。
本研究では、コーラス放射の強度変化とULF波動の対応関係について理解することを目的として、あらせ衛星の観測結果を解析する。プラズマ波動・電場観測器(PWE)のOnboard Frequency Analyzer(OFA)と磁場観測器(MGF)の観測データを用いて、2017年3月30日UT04:30-05:30に計測されたイベントに着目する。解析対象とする時間帯には、あらせ衛星は磁気地方時03:00前後、磁気緯度-5°前後、L値6程度の地点、すなわち地球磁気圏の磁気赤道面付近の朝側領域に位置していた。解析の結果、MGFにより観測された磁場波形に周期5-10分の変動成分が見出された。磁場変動の周期から、Pc5帯のULF波動が発生していたと考えられる。また、OFAにより観測された波動電磁場成分のスペクトル解析結果から、kHz帯にコーラス放射の発生が確認された。さらに、MGFとOFAの観測結果の比較から、このULF波動とコーラス放射の強度変化との間に対応関係があることが見出された。すなわち、compressionalモードのPc5帯ULF波動が南向きに振動する時間帯に、コーラス放射の波動強度が増大するという、Li et al. (2011)と一致する対応関係が認められた。本発表では、ULF波動の位相とコーラス放射の発生との対応関係について詳細に解析した結果を報告する。