14:00 〜 14:15
[PEM18-02] LF帯標準電波の電離圏高度における反射変化の観測
キーワード:電離圏、D領域、電子密度
LF 帯電波は下部電離圏で反射する。電離圏擾乱によって電離圏高度が変化すると電波の反射高度が変動し, 電波の伝搬経路長が変化する。この時, 受信される電波の位相も変化するため, LF 帯電波の位相変動を観測 することで電離圏高度の変動を観測することができる。下部電離圏を観測する方法は極めて少なく, LF 帯 電波観測は有用な観測法の 1 つであり, 下部電離圏を研究する上で重要なデータを提供することが期待さ れる。そこで本研究では LF 帯電波の位相変化を用いて LF 帯電波の電離圏における反射高度を観測し, 低 高度電離圏の高度変動の導出を行なった。観測対象は 60 kHz の標準電波で, 送信点は佐賀県と福岡県の県 境のはがね山である。 本研究では群馬県沼田市と, 長野県上田市菅平高原に受信点を設置し Crossed Loop Antenna による観測を行った。
送受信点間の距離約 880 km であることから, 送信点から地表付近を伝搬し, 直接アンテナに到達する地 表波と, 電離圏で反射して到来する空間波の両方が受信される。そのため, これらを分離する必要がある。 日の出, 日の入付近では電離圏高度分布が大きく変化することから, 空間波の位相も大きく変化する。そこ で, 地表波と空間波の両方を含む受信波の日の出, 日の入のデータを極 座標表示することで空間波を分離し た。分離した空間波の位相変化から, LF 帯電波の反射高度変化を算出し, その変化と電離圏電気伝導度の変 化を比較した。地表波と空間波の分離については, 空間波の強度が地表波に比べ小さいため, ノイズの影響 を受けやすく, 約 1/4 程度の日数で分離が出来ている。日変化の例として, 観測から得られた 2016 年 1 月 7 日の反射高度変化は 14 km で, 電気伝導度の高度変化は 7 km で, 2 倍近くあったが, 時間的な変動には 相関が見られた。季節変化においては, 同様に相関が見られた。LF 帯観測により導出した高度変化と伝導 度分布の高度変化については, 2 倍近い違いが見られた。これは, LF 帯の高度変化の推定の際, 絶対高度を 仮定する必要がある。
送受信点間の距離約 880 km であることから, 送信点から地表付近を伝搬し, 直接アンテナに到達する地 表波と, 電離圏で反射して到来する空間波の両方が受信される。そのため, これらを分離する必要がある。 日の出, 日の入付近では電離圏高度分布が大きく変化することから, 空間波の位相も大きく変化する。そこ で, 地表波と空間波の両方を含む受信波の日の出, 日の入のデータを極 座標表示することで空間波を分離し た。分離した空間波の位相変化から, LF 帯電波の反射高度変化を算出し, その変化と電離圏電気伝導度の変 化を比較した。地表波と空間波の分離については, 空間波の強度が地表波に比べ小さいため, ノイズの影響 を受けやすく, 約 1/4 程度の日数で分離が出来ている。日変化の例として, 観測から得られた 2016 年 1 月 7 日の反射高度変化は 14 km で, 電気伝導度の高度変化は 7 km で, 2 倍近くあったが, 時間的な変動には 相関が見られた。季節変化においては, 同様に相関が見られた。LF 帯観測により導出した高度変化と伝導 度分布の高度変化については, 2 倍近い違いが見られた。これは, LF 帯の高度変化の推定の際, 絶対高度を 仮定する必要がある。