日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM18] 大気圏・電離圏

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 304 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、津川 卓也(情報通信研究機構)、川村 誠治(国立研究開発法人 情報通信研究機構)、座長:高橋 透(極地研究所)、垰 千尋

16:30 〜 16:45

[PEM18-11] 衛星ビーコン観測に基づくアジア域の電離圏赤道異常の日変化・季節変化の研究

*坂本 悠記1山本 衛1穂積 コンニャナット2 (1.京都大学 生存圏研究所、2.国立研究開発法人 情報通信研究機構)

キーワード:衛星ビーコン観測、バイアス推定、全電子数、赤道異常

我々はこれまで東南アジア域を中心とした衛星-地上のビーコン観測によって,電離圏の構造に関する研究を行ってきた.例えば東経100度沿いに構築された5地点の受信機から経線に沿った一定期間の電離圏全電子数(TEC)の分布を明らかにし,赤道異常の時間・空間構造を示すことに成功している(Watthanasangmechai et al., 2014, 2015).しかしながら,TEC値を得るためのバイアス値の推定が困難で,解析時間がかかりすぎるため大量のデータ解析は容易ではなかった.本研究ではまずデータ解析の障壁を下げるためにTEC値分布のデータベースを作成した.1つの受信機での観測データを用いた1観測点法と複数の受信機での観測データを組み合わせる多観測点法の2手法をベースに,これらを複数段階に分けることでTEC値算出の自動化を実現した.この手法によるTEC値は,Watthanasangmechai et al. (2014, 2015)による解析結果とほぼ一致し,開発した手法が正しく機能することを確認した.この手法を用いて,2012-2015年の期間についてタイからインドネシア上空のTEC値の緯度分布の解析を行った.この結果は地上の固定された観測点から広い緯度範囲のTEC値のデータとして利用価値があると考える.これによって,低緯度で発生する赤道異常と呼ばれる電離圏の構造について日変化や季節変化の様子を示す.