[PEM18-P07] S-310-44号機観測ロケットによって観測されたVLF帯波動の解析
キーワード:Sq電流系、VLF帯波動
冬季の電離圏下部領域で発生するSq電流系は、電子加熱や強い電子密度擾乱といった特異な現象を引き起こす。Sq電流系の中心付近で起こるこれらの現象のメカニズムを解明するため、S-310-44号機観測ロケットが2016年1月15日12時00分(JST)に打ち上げられた。ロケットはSq電流系中心を通過し、搭載された観測機器はすべて正常に動作した。電場観測装置(EFD)は高度100kmから160kmにかけて6400HzまでのVLF帯交流電界を観測した。電界スペクトル高度分布を表示したところ、上昇時のみ高度100km付近で2~3kHzのスペクトル強度が強くなっており、VLF帯波動が観測されていることが確認された。また、高速ラングミューアプローブ(FLP)の観測結果から、電子温度が高度100km付近で150K上昇しており、電子温度上昇とVLF帯波動の周波数変化に良い相関が見られた。
また、偏波解析の結果から、観測されたVLF帯波動は磁場に対してほぼ垂直であり、周波数帯がイオンサイクロトロン周波数と一致した。これらの解析結果から、この波動は電子温度とイオン温度の比(Te/Ti)によって周波数が変化するイオンサイクロトロン高調波である可能性が考えられる。
また、偏波解析の結果から、観測されたVLF帯波動は磁場に対してほぼ垂直であり、周波数帯がイオンサイクロトロン周波数と一致した。これらの解析結果から、この波動は電子温度とイオン温度の比(Te/Ti)によって周波数が変化するイオンサイクロトロン高調波である可能性が考えられる。