[PEM18-P14] 超高層大気観測のための真空計開発に関する検討
キーワード:電離真空計、観測ロケット、DSMC法
地球の高度約70 km以上の大気では、さまざまな電離過程によって中性大気の一部が電離する。電離大気は電磁気的な力を受けるために中性大気とは異なる方向に運動し、中性大気と電離大気の衝突によって運動量が輸送される。この運動量輸送がこの領域特有の電子密度擾乱などの現象にかかわっていると考えられており、これらの現象を理解するためには中性大気の密度および中性粒子の運動である中性風の情報を精確に把握することが必要である。
本研究では観測ロケットに搭載することを前提に、熱圏下部での中性大気密度の測定および中性風の推定を可能にする測定器の開発を目的とする検討を行った。具体的には高度約150 kmに相当する10-4 Paの大気圧までの測定を可能にする電離真空計の開発を目的とし、現在は測定球の候補としてキャノンアネルバ社製の真空ゲージMG-2Fを考えている。
測定においてMG-2Fを収納する容器の最適な形状を設計するために、希薄気体のシミュレーションが可能なDSMC(Direct Simulation Monte Carlo)法を用いた真空計周辺の流れのシミュレーションを検討している。熱圏下部のように低圧力の領域や流れの空間スケールが小さい領域では、気体を連続体として扱うことができなくなり、Navier-Stokes方程式が有効ではなくなる。DSMC法はこのような希薄気体の流れを実在する粒子数よりも少ないサンプル粒子の運動と衝突の計算を通してシミュレーションする手法である。
まず、実験室のチャンバー内で圧力差をつくり出し、その圧力差によって駆動された流れの結果生じる圧力分布をMG-2Fを用いて計測した。次にその実験系をDSMC法を用いて再現し、シミュレーション結果と実験値を比較することで、真空計の設計においてDSMC法が有効であるかを検討した。発表ではこれらの結果についての比較を行うとともに、DSMC法を用いる妥当性について考察した結果を述べる。
本研究では観測ロケットに搭載することを前提に、熱圏下部での中性大気密度の測定および中性風の推定を可能にする測定器の開発を目的とする検討を行った。具体的には高度約150 kmに相当する10-4 Paの大気圧までの測定を可能にする電離真空計の開発を目的とし、現在は測定球の候補としてキャノンアネルバ社製の真空ゲージMG-2Fを考えている。
測定においてMG-2Fを収納する容器の最適な形状を設計するために、希薄気体のシミュレーションが可能なDSMC(Direct Simulation Monte Carlo)法を用いた真空計周辺の流れのシミュレーションを検討している。熱圏下部のように低圧力の領域や流れの空間スケールが小さい領域では、気体を連続体として扱うことができなくなり、Navier-Stokes方程式が有効ではなくなる。DSMC法はこのような希薄気体の流れを実在する粒子数よりも少ないサンプル粒子の運動と衝突の計算を通してシミュレーションする手法である。
まず、実験室のチャンバー内で圧力差をつくり出し、その圧力差によって駆動された流れの結果生じる圧力分布をMG-2Fを用いて計測した。次にその実験系をDSMC法を用いて再現し、シミュレーション結果と実験値を比較することで、真空計の設計においてDSMC法が有効であるかを検討した。発表ではこれらの結果についての比較を行うとともに、DSMC法を用いる妥当性について考察した結果を述べる。