14:45 〜 15:00
[PEM19-05] 太陽風中の月ウェイク境界の渦による沿磁力線電子流
キーワード:沿磁力線電子流、ウェイク、渦、偏波、かぐや衛星
太陽風中の月の背後には、ウェイクと呼ばれるほぼ真空の領域ができるが、極軌道で月を周回していたかぐや衛星が南極から北極(または北極から南極)へウェイクを通過する際、背景磁場に対する磁場変動の偏波が北半球と南半球で逆になることが観測された。偏波の向きは太陽風に垂直な磁場成分Byの向きによって反転し、いずれの場合も流体中の物体の背後にできる渦と同じ向きの回り方であった。
当初、ケルビン-ヘルムホルツ不安定を想定して太陽風プロトンの速度シアーを検出しようとしたが、ウェイクに入ると急速にプロトン密度が減少し速度が得られず、ウェイク中にかけて流速が遅くなっていく例はわずかであった。2008年1月1日から5月31までの期間中、同様の事象が起きた時の太陽風の条件を調べると、太陽風速度は通常より速い傾向があった。磁場方向は通常より流れに直角に近づく傾向が見られたが、これは流れに平行な磁場Bx成分が弱いためではなく、流れに垂直なBy成分が強いためであった。速度シアーによる不安定をBxが抑えているというよりむしろ、飛ぶボールの背後にできるような渦が月のウェイク境界全体にあって、磁場の向きが渦の回転軸に平行なところで偏波がきれいに見えているらしいことが推察された。
また、磁場を持ったプラズマが渦運動することにより電場が生じ、沿磁力線電流が流れこんでいる例が見つかった。By卓越時の磁力線に沿った変化は極軌道のかぐや衛星では観測できないが、磁場方向が90度回転した状況下で磁力線方向の空間変化を観測することができる。2009年2月27日に北向き太陽風磁場中朝側半球で左回り偏波が観測されており、この渦運動によって磁力線が回っている状況はプラスの電荷の発生と等価であるが、これに合致するように、電荷発生の領域に向かって南半球では北向き、北半球では南向きの沿磁力線電子流(4000km/s)が検出された。By卓越時にはy方向に高速の電子流が見られ、同じメカニズムと考えられる。
当初、ケルビン-ヘルムホルツ不安定を想定して太陽風プロトンの速度シアーを検出しようとしたが、ウェイクに入ると急速にプロトン密度が減少し速度が得られず、ウェイク中にかけて流速が遅くなっていく例はわずかであった。2008年1月1日から5月31までの期間中、同様の事象が起きた時の太陽風の条件を調べると、太陽風速度は通常より速い傾向があった。磁場方向は通常より流れに直角に近づく傾向が見られたが、これは流れに平行な磁場Bx成分が弱いためではなく、流れに垂直なBy成分が強いためであった。速度シアーによる不安定をBxが抑えているというよりむしろ、飛ぶボールの背後にできるような渦が月のウェイク境界全体にあって、磁場の向きが渦の回転軸に平行なところで偏波がきれいに見えているらしいことが推察された。
また、磁場を持ったプラズマが渦運動することにより電場が生じ、沿磁力線電流が流れこんでいる例が見つかった。By卓越時の磁力線に沿った変化は極軌道のかぐや衛星では観測できないが、磁場方向が90度回転した状況下で磁力線方向の空間変化を観測することができる。2009年2月27日に北向き太陽風磁場中朝側半球で左回り偏波が観測されており、この渦運動によって磁力線が回っている状況はプラスの電荷の発生と等価であるが、これに合致するように、電荷発生の領域に向かって南半球では北向き、北半球では南向きの沿磁力線電子流(4000km/s)が検出された。By卓越時にはy方向に高速の電子流が見られ、同じメカニズムと考えられる。