日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM19] 太陽圏・惑星間空間

2018年5月24日(木) 15:30 〜 17:00 304 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:坪内 健(東京工業大学理学院)、西野 真木(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)、座長:成行 泰裕

16:15 〜 16:30

[PEM19-10] 3年にわたる「ひさき」衛星による惑星間空間のヘリウム分布光学観測

*山崎 敦1村上 豪1吉岡 和夫2木村 智樹3土屋 史紀4鍵谷 将人4坂野井 健4寺田 直樹5笠羽 康正5吉川 一朗6 (1.宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所、2.東京大学大学院新領域創成科学研究科、3.国立研究開発法人理化学研究所仁科加速器研究センター、4.東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター、5.東北大学大学院理学研究科、6.東京大学)

キーワード:極端紫外分光、星間風・星間ガス、惑星間空間中性ヘリウム、「ひさき」衛星

「ひさき (SPRINT-A)」衛星の主目的は、長期間にわろる継続惑星観測であるが、観測好機の惑星が存在しない時期には惑星以外の観測を実施している。 その一例が、惑星間空間からのヘリウム原子共鳴散乱光の観測である。 星間ガスが、太陽圏との相対速度により星間風となり、ヘリオポーズを超えて惑星間空間に侵入している。星間ガスの主成分は水素ガスとヘリウムガスであり、 イオン化エネルギーの高いヘリウム原子はイオン化することなく太陽近傍の 0.5Au以内にまで侵入することができる。 侵入軌道は太陽重力と太陽光放射圧によって決まるが、ヘリウム原子の軌道は放射圧にはほとんど依存しないケプラー運動となり、 太陽の星間風の風下側に密度の濃い領域を形成する。これをヘリウムコーンと呼ぶ。 惑星間空間のヘリウム分布は、星間風の速さと方向、星間空間ヘリウム原子の密度と温度によって決定づけられのため、 惑星間空間に滞在しながら星間ガスのパラメータ推定を実施することが可能となる。 1970年代から実施されている歴史の長い研究であるが、近年のIBEX衛星が精密な星間空間の観測を実施した。 その結果、これまで時間変化が少ないとされていた星間ガスの分布が、かなりダイナミックに変動していることが明らかとなった。 「ひさき」衛星はヘリウムコーンを通過する11月から12月に合わせて惑星間空間ヘリウム原子の共鳴散乱光観測を実施した。 今回は2015~2017年の3度に渡り観測した結果から、星間風の速度方向の変化について議論する。