14:30 〜 14:45
[PPS03-04] 地球接近天体2012 TC4の観測 ー Tomo-e Gozen カメラを用いた高時間分解ライトカーブ ー
キーワード:小惑星、ライトカーブ、観測、測光、スペースガード
はやぶさによるイトカワの探査から、小惑星は複数の岩塊が弱く重力で束縛されたラブルパイル構造を取ることが確認された。一方で、ひとつの岩塊そのものからなる小惑星(monolithic asteroid)も存在する。ラブルパイル小惑星を構成する最小単位の物体と言えるmonolithic asteroidの物理状態を明らかにすることは、小惑星を構成する物質や、岩塊そのものの構造的強さを知るための手がかりとなる。しかしながら、これまでmonolithic asteroidを探査した例はなく、また観測された例も非常に少ない。これは、monolithic asteroidが小さいため、非常に暗く観測が困難だからである。Monolithic asteroidの物理状態を観測的に明らかにするためには、その天体が地球接近小惑星であり、地球に非常に近づいた時にタイミングよく観測する必要がある。
2012 TC4(以下、TC4)は、2012年に発見された地球接近小惑星である。この時、地球に95000kmまで接近し、その直径が12 m -27 mであり、自転周期が12.24分と著しく短いことを示唆した。自転周期が2.2時間より短い小惑星は、高速自転小惑星と呼ばれ、その強い遠心力のためラブルパイル構造を取ることができない。従って、TC4はmonolithic asteroidであると考えられる。
TC4は2017年10月に地球に50000kmまで接近する観測好機を迎えた。2012年は発見直後の観測であったため、十分な観測体制をとることができず、直径と自転周期以外の物理情報は得られなかった。Monolithic asteroidであるTC4の表面にはレゴリス層が存在しておらず、岩塊そのものからなる表面であると考えられる。今回の回帰は、monolithic asteroidの物理状態を解明する非常に良い観測機会である。我々はTC4に対する観測キャンペーンを東京大学木曽観測所、美星スペースガードセンター、兵庫県立大学西はりま天文台、名寄市立天文台、阿南市科学センターで実施した。このうち、木曽観測所では開発中の超広視野CMOSカメラTomo-e Gozenを用いて、高時間分解のライトカーブの取得に成功した。周期解析の結果、TC4が自転周期12.2449分、歳差周期8.4731分のタンブリング運動をしている小惑星であることが明らかになった。また、ライトカーブから形状モデルの作成を行い、2.4 : 1.6 :1の三軸比であることも分かった。さらに可視・近赤外多色測光の結果から、TC4がXタイプ小惑星であることを示唆した。本講演では、観測結果に加え、自転周期から推定されるTC4の構造的強さや、スペクトルタイプから推定される構成物質について議論を行う。
2012 TC4(以下、TC4)は、2012年に発見された地球接近小惑星である。この時、地球に95000kmまで接近し、その直径が12 m -27 mであり、自転周期が12.24分と著しく短いことを示唆した。自転周期が2.2時間より短い小惑星は、高速自転小惑星と呼ばれ、その強い遠心力のためラブルパイル構造を取ることができない。従って、TC4はmonolithic asteroidであると考えられる。
TC4は2017年10月に地球に50000kmまで接近する観測好機を迎えた。2012年は発見直後の観測であったため、十分な観測体制をとることができず、直径と自転周期以外の物理情報は得られなかった。Monolithic asteroidであるTC4の表面にはレゴリス層が存在しておらず、岩塊そのものからなる表面であると考えられる。今回の回帰は、monolithic asteroidの物理状態を解明する非常に良い観測機会である。我々はTC4に対する観測キャンペーンを東京大学木曽観測所、美星スペースガードセンター、兵庫県立大学西はりま天文台、名寄市立天文台、阿南市科学センターで実施した。このうち、木曽観測所では開発中の超広視野CMOSカメラTomo-e Gozenを用いて、高時間分解のライトカーブの取得に成功した。周期解析の結果、TC4が自転周期12.2449分、歳差周期8.4731分のタンブリング運動をしている小惑星であることが明らかになった。また、ライトカーブから形状モデルの作成を行い、2.4 : 1.6 :1の三軸比であることも分かった。さらに可視・近赤外多色測光の結果から、TC4がXタイプ小惑星であることを示唆した。本講演では、観測結果に加え、自転周期から推定されるTC4の構造的強さや、スペクトルタイプから推定される構成物質について議論を行う。