[PPS03-P08] はやぶさ2の可視望遠カメラによるマルチバンド分光観測の地上模擬実験
キーワード:はやぶさ2、ONC-T、含水鉱物
2014年に打ち上げられたはやぶさ2は、C型小惑星リュウグウを目標天体とした小惑星探査機であり、2018年6月にリュウグウに到着する予定である。はやぶさ2におけるミッション目標の一つは、熱変成の進んでいない始原的な物質を地球へと持ち帰ることであり、リュウグウには、地上からの反射分光測定の結果[Vilas, 2008]から含水鉱物の存在を示す700 nm吸収帯の存在が確認されている。はやぶさ2では、3つの可視カメラから成る光学航法カメラ(ONC)のうち、7枚のバンドパスフィルタの備わった望遠カメラ「ONC-T」を用いてマルチバンド分光観測を行う。そして、その撮像結果から700 nm吸収帯の検出が可能であることを事前に確認しておく必要がある。我々はこれまでに、ONC-Tのフライトモデルを用いて、C型小惑星に対応する反射スペクトルを持つ炭素質コンドライトに対する反射分光実験を行い、700 nm吸収帯の検出が可能であることを確認した[Kameda et al., 2015]。しかし、700 nm吸収帯の検出可能性を示した反射スペクトルは50×50 画素でビニングした結果であり、HP観測で必要な空間分解能30 mを満たしていない。また、ONC-T はフィルタホイールを回転させることでバンドを変更するが、その間に小惑星の自転によって視野がずれてしまう。この影響は先行研究では模擬されていない。
そこで本研究では、新たにリュウグウの自転によるバンドごとの視野のずれも模擬した反射分光実験を行い、位相角30°においてHP観測で必要な空間分解能で700 nm吸収帯を検出できることを確認した。また、リュウグウ到着後から2019年末のリュウグウ出発までに太陽-リュウグウ-はやぶさ2の位相角は0°から40°の範囲で変化し、リュウグウ表面の傾斜によって入射角及び出射角も変化する。このような様々な条件における700 nm吸収帯の検出可能性について確認した結果についても報告する。
そこで本研究では、新たにリュウグウの自転によるバンドごとの視野のずれも模擬した反射分光実験を行い、位相角30°においてHP観測で必要な空間分解能で700 nm吸収帯を検出できることを確認した。また、リュウグウ到着後から2019年末のリュウグウ出発までに太陽-リュウグウ-はやぶさ2の位相角は0°から40°の範囲で変化し、リュウグウ表面の傾斜によって入射角及び出射角も変化する。このような様々な条件における700 nm吸収帯の検出可能性について確認した結果についても報告する。