日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS04] あかつきの成果と、金星科学の深化

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:佐藤 毅彦(宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、山本 勝(九州大学応用力学研究所、共同)、Kevin McGouldrick(University of Colorado Boulder)

[PPS04-P07] ピリカ望遠鏡による金星雲氷結晶の変更観測

*二村 有希1高橋 幸弘1高木 聖子1 (1.北海道大学 大学院理学院宇宙理学専攻)

キーワード:金星、偏光観測、氷結晶

金星は、高度45-70kmに存在する主成分濃硫酸の雲で一様に覆われていることが過去の観測から知られている。雲頂温度は凝固点以下であるとの推定から、氷結晶の存在可能性が指摘されているが、未だ決着はついていない。

 氷結晶と液滴は、偏光度に大きく異なる特徴を持つ。22度ハロー現象によって、散乱角22度で偏光度が下がる氷結晶の特性を利用して、L’Oreary (1972)は、波長550 nmと650 nmで偏光観測を行ったが、氷結晶の存在を示唆する結果は得られていない。一方、Können et al. (1993) は、402 nmから850 nmの間の8波長で偏光観測を実施し、氷結晶の存在を示唆する結果を得たが、622 nmと712 nmでは、22度ハロー現象から予測される結果とは逆の傾向を示した時期もあった。しかし、その原因は断定されていない。

 本研究では、氷結晶が存在すると推測される雲頂付近における雲模様に着目する。さらに、先行研究では観測されていない、氷特有の他の特徴を示す位相角でも観測を行う。北海道大学所有の1.6 mピリカ望遠鏡に、搭載されているMSI (Multi-Spectral Imager) を用いて偏光観測と雲模様の撮像観測を全球的に行い、両者比較することで氷結晶の存在有無及び、その全球分布の解明を目指す。

 氷結晶の存在確認のために必要な精度を達成するため、本研究では遮光板を設計し試験観測を行った。また、太陽離角が15度と非常に小さくなる場合でも十分な精度の観測データが得られることを確認する試験観測を、2018年3月に行う。

 本発表では試験観測の結果と、それらを踏まえた今後の観測計画(2018年6月-7月、9月-10月)を報告する。