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[PPS08-10] ハイパースペクトルリモートセンシングを基にした宇宙風化を受けた斜長岩と火星衛星におけるD型スペクトルの比較
キーワード:火星衛星、リモートセンシング、ハイパースペクトル
D型小惑星は、小惑星の中で低いアルベドを示し、可視・近赤外スペクトルが赤く、特徴的な鉱物吸収を示さない天体である。これらのスペクトルの特徴(D型スペクトル)から、一般に有機物を含む岩石から成ると考えられている。火星の衛星であるフォボスとデイモスはD型スペクトルを示すことから、その成因としてD型小惑星が捕獲されたと考えられてきた。しかし、赤道面内円軌道化に対する説明が困難であることや、D型小惑星であれば期待される水・氷のフィーチャーが見つかっていないことなど未解決の問題も多い。一方、これら衛星の成因として、火星への巨大衝突で生じた周火星円盤中で集積して形成されたモデル(巨大衝突説)が提唱されている。しかし巨大衝突説の場合、どのようにしてD型スペクトルを持つ衛星表面が形成されたのかについてはよく分かっていない。さらに、フォボス表面には相対的に青い領域と赤い領域が混在することが知られているが、その物質的違いも分かっていない。
我々は最近、月の高地領域の中で宇宙風化を受けたと考えられる斜長岩の露頭の示すスペクトルの中に、D型スペクトルと非常に似たものが多数存在する事を発見した。このような観点から、我々は火星衛星の表層の組成として宇宙風化を受けた斜長岩の可能性(斜長岩仮説)を提唱している。本発表では、斜長岩仮説に基づき、宇宙風化モデルを使ってフォボス表面の青い領域と赤い領域を説明できるのか、また他の観測機器による観測結果が示す分光学的特徴との関係や、巨大衝突説との関係について議論を行う。
我々は最近、月の高地領域の中で宇宙風化を受けたと考えられる斜長岩の露頭の示すスペクトルの中に、D型スペクトルと非常に似たものが多数存在する事を発見した。このような観点から、我々は火星衛星の表層の組成として宇宙風化を受けた斜長岩の可能性(斜長岩仮説)を提唱している。本発表では、斜長岩仮説に基づき、宇宙風化モデルを使ってフォボス表面の青い領域と赤い領域を説明できるのか、また他の観測機器による観測結果が示す分光学的特徴との関係や、巨大衝突説との関係について議論を行う。