14:30 〜 14:45
[PPS08-22] 有機物マントルを持つ岩石ダストの付着:モデル構築と微惑星形成への応用
キーワード:微惑星形成、有機物
直接合体成長は、原始惑星系円盤内でダストが、微惑星を形成する重要なプロセスの1つである。しかし、岩石質のダストは付着力が十分に高くなく、衝突合体のみを経由して岩石微惑星へと成長することが困難であると考えられてきた。
そこで、本研究では、岩石微粒子の表面に有機物層が存在することに注目する。彗星由来と考えられる惑星間塵の観察から、アグリゲイトは表面に有機物を持つシリケイト粒子から構成されていることが知られている。また、有機物は岩石よりも柔らかく付着しやすい。そのため、有機物は、有機物マントルを持つ岩石微粒子の付着合体を促進する可能性がある。しかしながら、このような有機物マントルの効果は、従来の惑星形成では無視されてきた。
本研究の目的は、有機物を持つ岩石微粒子からなるアグリゲイトが、直接合体成長を経由して衝突により微惑星を形成しうるかを示すことである。そのために以下のことを行なった。まず、有機物マントル、岩石コアからなる微粒子の近似付着モデルを構築した。次に、このモデルを用いて、有機物マントルを持つ岩石微粒子からなるアグリゲイトが、衝突により付着できる上限の速度(上限付着速度)を計算した。さらに得られた上限付着速度を用い、原始惑星系円盤での、有機物マントルを持つ岩石微粒子からなるアグリゲイトの直接合体成長を計算した。
以上を行い、次の結果が得られた。有機物マントルの厚みが半径の10%であると仮定すると、アグリゲイトの上限付着速度は、温度に応じて20 m/sから110 m/sの値をとる。原始惑星系円盤におけるアグリゲイトの衝突速度は、50 m/sであるため、有機物を持つ岩石アグリゲイトは、環境温度によっては、衝突破壊を免れて合体し続けることが可能である。また、計算から1AUより遠方にある有機物を持つ岩石アグリゲイトは、合体成長と中心星方向への移動を経験した後、1AU付近で微惑星を形成することを明らかにした。
本研究によって、有機物マントルによる付着効率の上昇を考えれば、岩石ダストは、直接合体成長で微惑星を形成することが示された。一方で、本研究で形成される微惑星は、現在の地球やコンドライトに比べて高い炭素含有率を持つという問題がある。今後は、微惑星からコンドライトや岩石惑星が形成する過程で、有機物や炭素の含有量がどのように変化するかも明らかにする必要がある。
そこで、本研究では、岩石微粒子の表面に有機物層が存在することに注目する。彗星由来と考えられる惑星間塵の観察から、アグリゲイトは表面に有機物を持つシリケイト粒子から構成されていることが知られている。また、有機物は岩石よりも柔らかく付着しやすい。そのため、有機物は、有機物マントルを持つ岩石微粒子の付着合体を促進する可能性がある。しかしながら、このような有機物マントルの効果は、従来の惑星形成では無視されてきた。
本研究の目的は、有機物を持つ岩石微粒子からなるアグリゲイトが、直接合体成長を経由して衝突により微惑星を形成しうるかを示すことである。そのために以下のことを行なった。まず、有機物マントル、岩石コアからなる微粒子の近似付着モデルを構築した。次に、このモデルを用いて、有機物マントルを持つ岩石微粒子からなるアグリゲイトが、衝突により付着できる上限の速度(上限付着速度)を計算した。さらに得られた上限付着速度を用い、原始惑星系円盤での、有機物マントルを持つ岩石微粒子からなるアグリゲイトの直接合体成長を計算した。
以上を行い、次の結果が得られた。有機物マントルの厚みが半径の10%であると仮定すると、アグリゲイトの上限付着速度は、温度に応じて20 m/sから110 m/sの値をとる。原始惑星系円盤におけるアグリゲイトの衝突速度は、50 m/sであるため、有機物を持つ岩石アグリゲイトは、環境温度によっては、衝突破壊を免れて合体し続けることが可能である。また、計算から1AUより遠方にある有機物を持つ岩石アグリゲイトは、合体成長と中心星方向への移動を経験した後、1AU付近で微惑星を形成することを明らかにした。
本研究によって、有機物マントルによる付着効率の上昇を考えれば、岩石ダストは、直接合体成長で微惑星を形成することが示された。一方で、本研究で形成される微惑星は、現在の地球やコンドライトに比べて高い炭素含有率を持つという問題がある。今後は、微惑星からコンドライトや岩石惑星が形成する過程で、有機物や炭素の含有量がどのように変化するかも明らかにする必要がある。