14:00 〜 14:15
[PPS09-02] 超高真空透過型電子顕微鏡による氷の不均質核生成のその場観察
キーワード:氷、不均質核生成、結晶、アモルファス、モルフォロジー
氷は宇宙のあらゆるところに存在する.氷の結晶性(アモルファス,結晶)は,両者で物性等が大きく異なるために,氷微粒子や氷天体の進化を考える上で重要である.氷の結晶性に関しては,十分に調べられていると誤解されがちであるが,きちんとした研究は意外と少ない.特に,高温領域(80-150 K)で水蒸気が基板上に凝縮(不均質核生成)して生成される氷の結晶性を調べた研究はほとんどない.そこで,本研究では,宇宙で重要な物質(アモルファス珪酸塩,有機物,アモルファスカーボン)を基板に用いて,不均質核生成を観察する実験をおこなった.
観察は,超高真空透過型電子顕微鏡を用い,基板温度80-145 Kで核生成過程のその場観察をおこなった.基板は次の物質を用いた.アモルファス珪酸塩:スパッタリングでアモルファスMg2SiO4を作製,有機物:H2O:CH3OH:NH3=6:4:1に紫外線を照射して作製,アモルファスカーボン:市販のTEMグリッド(C-flat)を使用.また比較のために,アモルファスSiおよびAl蒸着膜(結晶)も使用した.
一般に,高温では比較的大きな島状の氷Ic結晶が生成され,温度の低下とともに,核の個数が増大し島のサイズが小さくなった.これまで,高温で蒸着した氷結晶は一様な薄膜になると考えられてきたが,全く異なっていることが明らかになった.ある臨界温度以下では,島状の組織を示さない一様なアモルファス氷薄膜が生成された.この臨界温度は,結晶性の基板(Al)では100K程度で,アモルファス基板(Mg2SiO4, 有機物, C, Si)では125-130Kであった.また,80Kで作製した一様なアモルファス氷薄膜を高温(130-145K)で結晶化させると,島状の氷Icになった.
これらの実験結果は,宇宙で凝縮する氷の結晶性の議論(Kouchi et al., 1994)や氷結晶で覆われた微粒子の付着成長過程の議論を見直す必要があることを示している.
観察は,超高真空透過型電子顕微鏡を用い,基板温度80-145 Kで核生成過程のその場観察をおこなった.基板は次の物質を用いた.アモルファス珪酸塩:スパッタリングでアモルファスMg2SiO4を作製,有機物:H2O:CH3OH:NH3=6:4:1に紫外線を照射して作製,アモルファスカーボン:市販のTEMグリッド(C-flat)を使用.また比較のために,アモルファスSiおよびAl蒸着膜(結晶)も使用した.
一般に,高温では比較的大きな島状の氷Ic結晶が生成され,温度の低下とともに,核の個数が増大し島のサイズが小さくなった.これまで,高温で蒸着した氷結晶は一様な薄膜になると考えられてきたが,全く異なっていることが明らかになった.ある臨界温度以下では,島状の組織を示さない一様なアモルファス氷薄膜が生成された.この臨界温度は,結晶性の基板(Al)では100K程度で,アモルファス基板(Mg2SiO4, 有機物, C, Si)では125-130Kであった.また,80Kで作製した一様なアモルファス氷薄膜を高温(130-145K)で結晶化させると,島状の氷Icになった.
これらの実験結果は,宇宙で凝縮する氷の結晶性の議論(Kouchi et al., 1994)や氷結晶で覆われた微粒子の付着成長過程の議論を見直す必要があることを示している.