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[SCG54-11] オマーンオフィオライト陸上掘削から採取された苦鉄質岩コア試料の弾性波速度とその圧力依存性
キーワード:オマーンオフィオライト陸上掘削、地震波速度構造、海洋地殻、弾性波速度、圧力依存性、苦鉄質岩
海洋地殻の層構造モデルはオフィオライト層序と地震波速度構造を基に提唱されている(e.g., Christensen and Smewing, 1981; White et al., 1992)。しかし、海洋地殻深部の岩石が海洋底から直接採取された例はなく、その実現を目指しているマントル掘削に向け、現段階ではオマーン・オフィオライトの陸上掘削が進行中である。その第1期では、3地点(GT1, 2, 3)から地殻下部のlayered gabbro (GT1)とその上位に位置するfoliated gabbro (GT2)、上部/下部地殻境界の複合岩脈群(GT3)の掘削が行われた。これらの掘削試料は海洋地殻を代表する岩石であるとされ、海洋地殻の速度構造を理解する上で重要な情報が得られると期待される。本研究では掘削試料から海洋地殻の速度構造を推定するために、弾性波速度を海洋地殻の深さに相当する圧力条件で測定することを目的とした。
実験試料には掘削船ちきゅう船内で測定されたコア記載のデータ(ChikyuOman2017)を基に、各掘削ホールの平均的なP波速度、密度、空隙率を示す試料をそれぞれのホールから3~4試料を選定し、封圧下での弾性波速度測定に用いる。GT1とGT2からは密度2.9-3.0 g/cm3、空隙率0.5 %程度のカンラン石はんれい岩、GT3からは密度2.8-3.0 g/cm3、空隙率0.7 %程度の輝緑岩とはんれい岩を測定する。これらの試料のP波速度の異方性が3.5 %以下のものを選んだ。実験には広島大学設置の容器内変形透水試験機を使用し、無水条件と含水条件において弾性波速度を測定する。実験手順は、無水条件の速度を測定した後、間隙水圧を一定(10 MPa)に制御した含水条件の測定を連続して行なう。どちらの条件においても封圧200 MPa(海洋地殻の深さ6km付近に相当)までの測定を行う。弾性波速度は電圧5 V、周波数2 MHzの1周期の正弦波を印加するパルス透過法からP波速度とS波速度を測定する。
実験結果は、GT1のカンラン石はんれい岩(密度3.0 g/cm3)のP波速度とS波速度は封圧5MPaにおいて6.95 km/s、3.86 km/sを示し、封圧200MPaでは7.21 km/s、3.92 km/sまで増加した。また、空隙率が低いために無水条件と含水条件では速度に違いが見られず、間隙水の効果はほとんどない。本実験結果は露頭から採取されたカンラン石はんれい岩の速度(Christensen and Smewing, 1981)とおおむね一致する。本実験結果と地質調査に基づく先行研究を比較することで掘削試料がオマーン・オフィオライトの各岩相を代表とするかを議論し、海洋地殻の地震波速度構造を検討する。
実験試料には掘削船ちきゅう船内で測定されたコア記載のデータ(ChikyuOman2017)を基に、各掘削ホールの平均的なP波速度、密度、空隙率を示す試料をそれぞれのホールから3~4試料を選定し、封圧下での弾性波速度測定に用いる。GT1とGT2からは密度2.9-3.0 g/cm3、空隙率0.5 %程度のカンラン石はんれい岩、GT3からは密度2.8-3.0 g/cm3、空隙率0.7 %程度の輝緑岩とはんれい岩を測定する。これらの試料のP波速度の異方性が3.5 %以下のものを選んだ。実験には広島大学設置の容器内変形透水試験機を使用し、無水条件と含水条件において弾性波速度を測定する。実験手順は、無水条件の速度を測定した後、間隙水圧を一定(10 MPa)に制御した含水条件の測定を連続して行なう。どちらの条件においても封圧200 MPa(海洋地殻の深さ6km付近に相当)までの測定を行う。弾性波速度は電圧5 V、周波数2 MHzの1周期の正弦波を印加するパルス透過法からP波速度とS波速度を測定する。
実験結果は、GT1のカンラン石はんれい岩(密度3.0 g/cm3)のP波速度とS波速度は封圧5MPaにおいて6.95 km/s、3.86 km/sを示し、封圧200MPaでは7.21 km/s、3.92 km/sまで増加した。また、空隙率が低いために無水条件と含水条件では速度に違いが見られず、間隙水の効果はほとんどない。本実験結果は露頭から採取されたカンラン石はんれい岩の速度(Christensen and Smewing, 1981)とおおむね一致する。本実験結果と地質調査に基づく先行研究を比較することで掘削試料がオマーン・オフィオライトの各岩相を代表とするかを議論し、海洋地殻の地震波速度構造を検討する。