日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG61] 海洋底地球科学

2018年5月24日(木) 09:00 〜 10:30 302 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、座長:羽入 朋子藤井 昌和(国立極地研究所)

10:00 〜 10:15

[SCG61-17] トランスフォーム断層の剪断変形によるマントルかんらん岩の構造発達とマントルへの水の浸透作用

*柿畑 優季1道林 克禎1Dick Henry2 (1.静岡大学大学院総合科学技術研究科、2.ウッズホール海洋研究所)

キーワード:トランスフォーム断層、かんらん岩ウルトラマイロナイト、含水剪断変形

南西インド洋海嶺(SWIR)は最も拡大速度の遅い海嶺の一つであり,海底には部分的にかんらん岩が露出している.我々は1983年のPROTEA.5航海においてPrince Edward transform断層で採取されたかんらん岩7試料について分析を行った.これらのかんらん岩は粗粒組織からウルトラマイロナイトまで多様な組織を示し,角閃石をはじめとする含水鉱物を含んでいた.かんらん石及びスピネル粒子の組成は,組織にかかわらずArai (1994)のOlivine-Spinel Mantle Array (OSMA)の範囲であった.角閃石の組成はtremolite,magnesio-hornblende及びpargasiteであった.角閃石の存在は,これらのかんらん岩が800℃程度の温度条件で水の影響を受けていたことを示している.かんらん石の結晶方位ファブリックは,変形した角閃石を含む試料ではBタイプ及びEタイプであったが,角閃石の変形していない試料ではAタイプ及びDタイプであった.したがって本研究から,Prince Edward transform断層下の上部マントルは,トランスフォーム断層の運動による剪断変形に伴って局所的に水の影響を強く受けていることが示される.