日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG61] 海洋底地球科学

2018年5月24日(木) 10:45 〜 12:15 302 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、座長:横田 裕輔山下 幹也

10:45 〜 11:00

[SCG61-19] ROV用コアリングシステム

*山崎 俊嗣1石塚 治2深澤 徹弥3宇都 巨貴3田島 史郷3森山 和義3反町 賢3 (1.東京大学大気海洋研究所、2.産業技術総合研究所、3.鉱研工業株式会社)

海底岩石の採取方法としては、古くからドレッジが行われてきたが、採取地点をピンポイントでコントロールすることは不可能である。近年はROVや有人潜水船で、目視しながらマニピュレータを用いて試料採取できるようになった。これにより、試料採取位置は正確にわかるようになったが、マニピュレータでつかんで採取できるのは、すでに割れている、あるいは形や大きさが掴みやすいなど限られた条件の岩石のみであり、露頭の望む場所からの採取は困難なことが多く、研究に最適な試料が得られるとは限らない。そこで、海底の岩盤の岩石をピンポイントで効率良く採取できるドリルの開発を行っている。無人探査機等による1回の潜航調査で、十数センチ長の岩石コア試料を多数採取することを目指している。さらに、構造地質学、古地磁気学等から長年強い要望のある、海底から定方位試料を採取することを目指している。

ドリルの製作は、鉱研工業(株)で行った。ドリル・ロッドは二重管式で、内管は回転しないため軟岩の採取も可能である。ロッドには偏芯部があり、コアが折断される。コアには方位マークが付く構造になっている。掘削水(海水)を吸い上げ側に循環させることにより、掘削中に泥が巻き上がることなく掘削状況を視認でき、折断されたコアが吸い出されてコアラックに格納される。コアラックはカルーセル式で、マニピュレータでレバーを操作することにより、次の試料格納位置に切り替わり、10試料程度を個別に格納できる。

本年5月に無人探査機「ハイパードルフィン」に搭載して初の実海域試験を実施した(新青丸KS-17-4航海)。伊豆諸島海域の利島海穴において3回の潜航を行い、方位マークの付いた火山岩コアが成功裡に採取された。今後は実際の調査のの中でさまざまな岩石や運用の経験をすることにより、更に改良していく予定である。