14:00 〜 14:15
[SCG63-12] モンモリロナイトの摩擦強度:配向度と吸着水の影響
キーワード:二軸摩擦試験、法線応力依存性、水和、乾燥温度、粘土鉱物
粘土鉱物の濃集層が断層や地滑りのすべり面に存在することがある。一般に粘土鉱物は周辺の岩石・鉱物よりも小さい摩擦係数を持つため、断層運動に大きな影響を持ちうる。粘土鉱物の多くは1nmの厚みの層を最小単位とする平板状の結晶構造を持ち、比表面積が大きい。粘土鉱物の表面は水との親和性が高いため、微量な水の存在で摩擦係数が大きく低下する。また、粘土鉱物はアスペクト比の大きな平板状の構造を持つことから、そのすべり面に対する配向度によっても、摩擦特性が変化することが予想される[1]。配向度は粘土鉱物の生成条件によって異なるため[2]、様々な配向度による摩擦強度を知ることが重要となる。
本研究では、膨潤性の粘土鉱物であるモンモリロナイトを研究対象とする。モンモリロナイトの摩擦試験は過去に多くの研究例があるが、測定された摩擦係数は実験により大きく(0.04-0.8)異なる [3]。そこで本研究では、摩擦係数に大きな影響を与えていると考える吸着水の存在・配向度を制御した摩擦試験を実施し、乾燥条件におけるモンモリロナイトの摩擦係数を明らかにする。
試料として配向度の異なる二種類のモンモリロナイト粉末を用意した。摩擦試験の前にモンモリロナイトの層間水・吸着水の脱水状態を知るため、熱分析(TG-DTA)を実施した。層間水・吸着水の脱水に伴う吸熱反応のピークは70℃付近にあるが、200℃においても脱水によると思われる重量減少が見られた。これらの試料を70, 100, 120, 160, 200℃のオーブンで一晩真空乾燥し、窒素で湿度を1%以下に制御したチャンバー内で、二軸摩擦試験を実施した。摩擦試験においては法線応力を5 MPaから40 MPaまで変化させ、それぞれの応力下でせん断応力を測定した。
(1)吸着水の影響:吸着水によると考えられる摩擦係数の低下は、配向度に大きく依存した。配向度の高い試料においては、特に低法線応力下で摩擦係数が低く、乾燥温度が低いほど、摩擦係数が低下した。一方で配向度の低い試料では、吸着水による摩擦係数の低下は見られなかった。
(2)配向度の影響:十分に乾燥した試料において、配向度の高い試料は低い試料よりもせん断応力が大きく、法線応力依存性も大きいことがわかった。これらの結果は、乾燥下におけるモンモリロナイト表面の凝着力・真実接触面の大きさの影響を捉えている可能性があり、本発表で詳細を議論する。
References
[1] Wintsch, Chrstoffersen, Kronenberg (1995) J. Geophys. Res., 100, B7, 13021-13032.
[2] Wenk, Kanitpanyacharoen, Voltolini (2010) J. Struct. Geol., 32, 478-489.
[3] Moore, Lockner (2007) in The Seismogenic Zone of Subduction Thrust Faults, Chapter 11, 317-345.
本研究では、膨潤性の粘土鉱物であるモンモリロナイトを研究対象とする。モンモリロナイトの摩擦試験は過去に多くの研究例があるが、測定された摩擦係数は実験により大きく(0.04-0.8)異なる [3]。そこで本研究では、摩擦係数に大きな影響を与えていると考える吸着水の存在・配向度を制御した摩擦試験を実施し、乾燥条件におけるモンモリロナイトの摩擦係数を明らかにする。
試料として配向度の異なる二種類のモンモリロナイト粉末を用意した。摩擦試験の前にモンモリロナイトの層間水・吸着水の脱水状態を知るため、熱分析(TG-DTA)を実施した。層間水・吸着水の脱水に伴う吸熱反応のピークは70℃付近にあるが、200℃においても脱水によると思われる重量減少が見られた。これらの試料を70, 100, 120, 160, 200℃のオーブンで一晩真空乾燥し、窒素で湿度を1%以下に制御したチャンバー内で、二軸摩擦試験を実施した。摩擦試験においては法線応力を5 MPaから40 MPaまで変化させ、それぞれの応力下でせん断応力を測定した。
(1)吸着水の影響:吸着水によると考えられる摩擦係数の低下は、配向度に大きく依存した。配向度の高い試料においては、特に低法線応力下で摩擦係数が低く、乾燥温度が低いほど、摩擦係数が低下した。一方で配向度の低い試料では、吸着水による摩擦係数の低下は見られなかった。
(2)配向度の影響:十分に乾燥した試料において、配向度の高い試料は低い試料よりもせん断応力が大きく、法線応力依存性も大きいことがわかった。これらの結果は、乾燥下におけるモンモリロナイト表面の凝着力・真実接触面の大きさの影響を捉えている可能性があり、本発表で詳細を議論する。
References
[1] Wintsch, Chrstoffersen, Kronenberg (1995) J. Geophys. Res., 100, B7, 13021-13032.
[2] Wenk, Kanitpanyacharoen, Voltolini (2010) J. Struct. Geol., 32, 478-489.
[3] Moore, Lockner (2007) in The Seismogenic Zone of Subduction Thrust Faults, Chapter 11, 317-345.