日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG63] 地球惑星科学におけるレオロジーと破壊・摩擦の物理

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 A07 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:桑野 修(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、清水 以知子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、石橋 秀巳(静岡大学理学部地球科学専攻、共同)、田阪 美樹(島根大学)、座長:清水 以知子

14:30 〜 14:45

[SCG63-14] bruciteナノ粒子のvelocity-weakeningへの寄与

*奥田 花也1片山 郁夫2佐久間 博3河合 研志1 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、2.広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻、3.国立研究開発法人物質・材料研究機構機能性材料研究拠点)

キーワード:層状ナノ粒子、摩擦実験、Velocity-weakening

断層にはnmスケールの粒子が存在し(e.g. Chester et al., 2005)、このようなナノ粒子の存在が摩擦挙動に影響することが摩擦実験によって示唆されている(e.g. Han et al., 2011)。また断層に局在する層状鉱物(e.g. Chester et al., 2013)は低い摩擦係数を持つ(e.g. Byerlee, 1978)ため、層状ナノ粒子の摩擦特性が断層の挙動の理解に重要である。摩擦係数が0.55より低い物質ではvelocity-strengtheningのみを示すとされているが(Ikari et al., 2016)、層状鉱物の一つであるbruciteは摩擦係数が0.55より低いにもかかわらず、stick-slipを起こすため(Moore & Lockner, 2004)、velocity-weakeningを示す系であることが実験的に知られている。そこで本研究ではbruciteのナノ粒子を用いて摩擦実験を行い、ガウジの内部構造および摩擦係数データからvelocity-weakeningの機構解明を試みた。

本研究では純度99.9%、粒径70nmと600nmの合成brucite粉末(WAKO)をガウジに接する面を粗くした斑レイ岩ブロックに挟み、広島大学の二軸摩擦試験機によって摩擦実験を行った。

粒径70nmの場合安定すべりで摩擦係数は0.44を、粒径600nmの場合微小なstick-slipを示し、摩擦係数は0.34であった。velocity step testの結果、どちらの粒径の場合も(a-b)値が負であり、ともにvelocity-weakeningを示した。回収試料観察の結果、ブロックの表面の振幅が>10μmの凹凸はナノ粒子によって埋められていること、ガウジの両側に非常に明瞭なboundary shearを確認した。さらに、偏光顕微鏡による方位観察を行い、boundary shear直近の~1μmにおける粒子の配向を光学的に確認した。

Velocity-weakeningは剪断方向に平行なY面やboundary shearへの剪断の局在化がその要因であることが考えられている(Scruggs & Tullis, 1998)。一方これまで行われてきた摩擦実験では層状鉱物は層間をP面へ配向し、R面やY面に配向するものではないことが観察されてきた(e.g. Haines et al., 2013)。しかし今回用いた粒径を考えると、数十個のナノ粒子のみでboundary shearを局在させることが可能であると解釈できることから、ナノ粒子がマクロな粒子とは異なりboundary shearに配向を起こしてboundary shearを局在化させることで velocity-weakeningを起こすことが示唆される。

発表においては層厚を変更した場合や、せん断中のboundary shearの形成過程についても考察する予定である。