日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG64] 脆性延性境界と超臨界地殻流体:島弧地殻エネルギー

2018年5月21日(月) 09:00 〜 10:30 A11 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:土屋 範芳(東北大学大学院環境科学研究科環境科学専攻)、浅沼 宏(産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター)、小川 康雄(東京工業大学理学院火山流体研究センター)、座長:土屋 範芳浅沼 宏

09:00 〜 09:15

[SCG64-01] 新学術領域「島弧-沈み込み帯におけるエネルギーシステムとその社会受容性」の申請について

*土屋 範芳1 (1.東北大学大学院環境科学研究科環境科学専攻)

キーワード:地殻エネルギー、沈み込み帯、地殻流体、岩石-水相互作用、社会受容性

「島弧-沈み込み帯におけるエネルギーシステムとその社会受容性」(略称「地殻エネルギー」)と題する,科研費新学術領域に申請した.地球システムのエネルギーの従来的なとらえ方は,火山噴火のエネルギー,地震発生のエネルギー,さらには放射性元素の崩壊にともなう発熱とマントル対流などのマクロ的現象に関するエネルギー算出は古くから行われている.本申請は,これらのエネルギーのマクロ的な量だけでなく,エネルギーシステムの時間発展を沈み込み帯の物質循環との関係で捉えなおし,理論構築を進める.地球のエネルギー循環の仕組みを理解したい. 一方,エネルギーの問題は,単に地球科学的問題に帰着しない.我々は,島弧―沈み込み帯でのエネルギーの放出を,例えば温泉とか地熱エネルギー利用とかという形で享受している.この地のめぐみが人間社会の中でどのように位置づけられ,どのような利用が社会に受け入れられるのか,そして地球のエネルギーの利用と社会受容性や,温泉や地熱エネルギーに関係するさまざまなステークホルダーとの関係などについての社会科学的視点での検討が必要である.いわば地球エネルギーと社会との関わりについての考察を進める必要がある.
新学術領域研究の計画班構成は以下のとおりである.いずれも,広く公募研究を募集する.

A班(地球物質学,地球物理学的手法から地殻エネルギーを考える)
A01:地球物質エネルギーシステム(火成岩,変成岩の形成プロセスの解析から,島弧-沈み込み帯のエネルギーシステムのメカニズムを解明する)
A02:地球計測エネルギーシステム(地球物理的計測から島弧-沈み込み帯のエネルギーシステムの実態を解明し,地殻エネルギーのリアルタイムの描像を与える)

B班(物質循環手法から地殻エネルギーを考える)
B01:地球化学的物質循環(同位体地球化学的手法からマントル,スラブ起源の流体を捉える)
B02:マグマエネルギーシステム(島弧-沈み込み帯の流体の収支モデルの精密化)

C班(地球工学的手法により地殻エネルギーの探査・評価を考える)
C01:探査技術(探査工学)(弾性波計測を中心に地殻のき裂構造や流体賦存を探査する)
C02:評価技術(貯留層工学)(温度―水理―力学―化学反応連成(THMC)シミュレーションを行い,地殻エネルギー貯留層の評価,持続性を解析する.

D班(地球と社会を複雑系システムとしてとらえて,地殻エネルギーを考える)
D01:複雑系システム(情報工学的手法を使って,地球,社会などの複雑系の構造と挙動を解析する)
D02:エネルギー・イノベーション(分散型エネルギーの社会構造,イノベーションの将来像を社会科学的に解析する)