日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG64] 脆性延性境界と超臨界地殻流体:島弧地殻エネルギー

2018年5月21日(月) 09:00 〜 10:30 A11 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:土屋 範芳(東北大学大学院環境科学研究科環境科学専攻)、浅沼 宏(産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター)、小川 康雄(東京工業大学理学院火山流体研究センター)、座長:土屋 範芳浅沼 宏

10:00 〜 10:15

[SCG64-05] HClに富む酸性熱水活動の地球化学

*大沢 信二1網田 和宏2 (1.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設(別府)、2.秋田大学大学院理工学研究科附属理工学研究センター)

キーワード:地球化学、酸性熱水活動、HCl型

一般的な熱水系は活動中心の周辺部に硫酸酸性(H2SO4)の温泉をともなうが,活火山の中心部には著量の塩化物イオン(Cl)を含んだ硫酸酸性の温泉が普遍的に存在する.それは強酸性の熱水活動によって直接生成したと考えられており,そのような酸性温泉ではまれに[Cl]>[SO42]の関係を示す塩酸(HCl)に富む熱水が湧出する場合がある.わが国では,秋田県の玉川温泉がその例で,希少鉱物の北投石(PbやRaを含んだBaSO4)が析出することでも知られており,その生成にはHClが深く関わっているとされている(大沢ほか,1988).同様な例は国外にもあり,台湾の大屯火山区の北投温泉がそれである.本講演では,発表者のひとりが過去に行った研究(大沢ほか,2013)の成果などをもとに,HClに富む酸性熱水活動や温泉の地球化学的特徴を紹介する.
・大沢信二・他2名(1988)コンピュータ・シミュレーションによる北投石生成機構.温泉科学,38,154‐162.
・大沢信二・他5名(2013)台湾・大屯火山群の酸性温泉の地球化学的特徴と起源.温泉科学,62,282-293.