16:30 〜 16:45
[SCG67-11] 浜岡原子力発電所における津波監視システムの開発:海洋レーダの性能評価と津波予測
★招待講演
キーワード:津波、即時予測、海洋レーダ、仮想津波観測実験、インバージョン解析
浜岡発電所では、津波の襲来を監視し予測する「津波監視システム」の開発に取り組んでいる。このシステムでは、リアルタイムで沖合における津波に関するデータを監視し、浜岡発電所における津波の高さや到達時間を即時予測するものである。津波監視技術としては、国などの社外機関のデータを入手するものとして、DONET(Dense Oceanfloor Network system for Earthquake and Tsunamis)およびGPS波浪計に着目した。現在これらのデータをリアルタイムで入手しており、津波監視システムのプロトタイプを2016年度に構築し試験運用中である。加えて、独自に津波を観測することとし、海洋レーダと高感度カメラシステムを設置している。現在は、プロトタイプシステムにこれらの追加を検討している。
海洋レーダは、海に向けて電波を発信しその反射波を利用して海面の流速を広範囲に観測できる。ただし、1局観測では、ビーム方向で向かってくるか遠ざかるかの流速が放射状に得られる。浜岡原子力発電所では、1局の海洋レーダ(HFレーダで、1観測時間を1分間に短縮)を5号機屋上に設置している。その最大観測距離は60kmであり、実用的には40km程度である。観測時間を短くするとノイズの影響を受けやすく流速の検知精度が低下する可能性があり、また、津波により発生する流速の大きさは津波の規模や水深による。
海洋レーダの実運用にあたっては、津波検知可能性の評価が重要であり、最遠検知距離の検証を検討した。これには仮想津波観測実験が有効であり、数値解析結果の流速データと実観測の流速データを信号レベルで合成するものである。対象とした津波は、レベル1(安政東海津波)およびレベル2(内閣府南海トラフ津波モデルケース1)の津波で、トラフ軸近くからの津波の伝播を視覚的に確認できた。最遠検知距離の検証については、2点相関およびVR(Variance Reduction)指標の2手法とし、観測時間は1,2,4分間と変化させたケースも検討した。当該海域では、東側ビームで1分間もしくは2分間観測で精度が高く検知でき、最遠検知距離はレベル1津波では若干小さくなるものの、30km程度以上であった。
海洋レーダの観測データを用いた津波予測手法について確立されたものはない。本検討では、海洋レーダの観測データが面的で広範囲であるという特徴を生かし、インバージョン解析を用いた手法の検討を行った。線形重ね合わせ方法では、津波高さを一定の精度で予測が可能であったが、襲来時間の予測が遅れる傾向にあった。この解決策として、初期海面上昇分布から非線形解析により予測するフォワード解析を行い、襲来時間において精度の向上が図れた。この解析には時間を要することから、リアルタイムの予測システムでは、ハードおよびソフト面の検討が必要である。
海洋レーダは、海に向けて電波を発信しその反射波を利用して海面の流速を広範囲に観測できる。ただし、1局観測では、ビーム方向で向かってくるか遠ざかるかの流速が放射状に得られる。浜岡原子力発電所では、1局の海洋レーダ(HFレーダで、1観測時間を1分間に短縮)を5号機屋上に設置している。その最大観測距離は60kmであり、実用的には40km程度である。観測時間を短くするとノイズの影響を受けやすく流速の検知精度が低下する可能性があり、また、津波により発生する流速の大きさは津波の規模や水深による。
海洋レーダの実運用にあたっては、津波検知可能性の評価が重要であり、最遠検知距離の検証を検討した。これには仮想津波観測実験が有効であり、数値解析結果の流速データと実観測の流速データを信号レベルで合成するものである。対象とした津波は、レベル1(安政東海津波)およびレベル2(内閣府南海トラフ津波モデルケース1)の津波で、トラフ軸近くからの津波の伝播を視覚的に確認できた。最遠検知距離の検証については、2点相関およびVR(Variance Reduction)指標の2手法とし、観測時間は1,2,4分間と変化させたケースも検討した。当該海域では、東側ビームで1分間もしくは2分間観測で精度が高く検知でき、最遠検知距離はレベル1津波では若干小さくなるものの、30km程度以上であった。
海洋レーダの観測データを用いた津波予測手法について確立されたものはない。本検討では、海洋レーダの観測データが面的で広範囲であるという特徴を生かし、インバージョン解析を用いた手法の検討を行った。線形重ね合わせ方法では、津波高さを一定の精度で予測が可能であったが、襲来時間の予測が遅れる傾向にあった。この解決策として、初期海面上昇分布から非線形解析により予測するフォワード解析を行い、襲来時間において精度の向上が図れた。この解析には時間を要することから、リアルタイムの予測システムでは、ハードおよびソフト面の検討が必要である。