日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL30] 地球年代学・同位体地球科学

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 304 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、座長:田上 高広佐野 有司

14:45 〜 15:00

[SGL30-04] ジルコンαリコイル年代測定に向けた取り組み

*長谷部 徳子1早坂 怜2小坂 明弓2松木 篤1 (1.金沢大学環日本海域環境研究センター、2.金沢大学地球学教室)

キーワード:ジルコン、αリコイルトラック、段階エッチング

αリコイルトラック(ART)は鉱物中に含まれる238Uやその娘核種(234Uや230Th等)がα崩壊をする際に生じた運動エネルギーにより、残った原子核がその反動で動き,残す損傷のことをいう。マイカ類では年代測定に利用された例があるが,ウラン・トリウム濃度が高いジルコンでは実用されていない。ジルコンに利用できれば第四紀に相当するおおよそ数百から数万年前の比較的若い試料の年代測定が可能になると考えられ,手法が開発できればその貢献は計り知れない。

本研究ではナノオーダーの高い分解能を持つAFM(Atomic Force Microscope)を用い,年代既知のテフラ相当層から採取したジルコンをエッチングを施してから観察し, ARTの計数ならびにそのサイズの計測を行った。段階的にエッチングした試料ではエッチングに伴ってARTの直径および深さが拡大し,その拡大様式から,ARTはまず直径が広がりその後に深度方向にサイズが拡大することが分かった。また深さに対して直径をプロットすると直線の関係を示す。しかしその傾きは試料毎に異なっている可能性がある。ARTの面密度とウラン・トリウム濃度および観察結果に基づくARTサイズより年代を計算したところ,オーダーとしては一致するものの,参照年代とは異なる年代となった。エッチング条件,計測条件など,まだまだ課題が残る結果となった。