日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT26] 地殻応力研究の最前線:観測・実験・モデリングの統合

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:呉 泓昱(海洋研究開発機構)、林 為人(京都大学大学院工学研究科)、真田 佳典((国研)海洋研究開発機構、共同)、Chan Chung-Han(Earth Observatory of Singapore, Nanyang Technological University)

[SIT26-P03] 1995年神戸地震後20年における野島断層周辺の応力配置の回復

*西脇 隆文1林 愛明1林 為人1 (1.京都大学)

キーワード:野島断層、断層破砕帯掘削、応力方位、割れ目構造

ボアホールブレイクアウト解析によって得られる水平応力の方位データから、大地震時の活断層破砕帯における動力学的・地震学的な破壊過程の知見を得ることが出来る。ボアホールブレイクアウトは、ボーリング孔壁において応力集中の結果生じた亀裂であり、最大水平応力の方向に対して垂直の方向に形成される。このため、ブレイクアウトの方位の変化を詳細に調べることで、ボーリング掘削時のその場水平応力の方位を調べることが出来る。
 本研究では、1995年兵庫県南部地震時に活動した野島断層の調査で掘削されたボーリング孔中に認められるボアホールブレイクアウトの方位解析から、野島断層周辺の現在の水平応力方位を調べた。解析に用いた孔壁画像は、2015年から2017年にかけて実施された断層破砕帯掘削プロジェクト(Lin 2017; Miyawaki et al, 2017)によって得られたものである。このボーリング孔では、野島断層の主断層面は深度529.3m付近において認められ、厚さ15cmの断層ガウジと主断層面を挟んで幅約100mのダメージゾーンを伴う。
 解析の結果推定された最大水平応力の方位は、深度500m以浅では真北を基準にN10°E-70°W(平均N30°W)で野島断層の一般姿勢(N45°E,80°SE)とほぼ直交する方向を示し、深度650m以深ではN40°E-80°W(平均N80°E)でこの地域周辺の広域応力場とほぼ平行な方位を示した。以上の結果は、野島断層の地震発生帯において、断層運動の原動力となる応力状態が1996年の神戸地震後約20年で回復したことを示唆している。本研究は原子力規制庁による断層破砕帯掘削プロジェクトの支援を受けた。

引用
Lin, 2017, 4-Dimention (4D) analyses of active fault damage zones: meso-microstructural features and dating cataclastic rocks. AGU 2017 Fall meeting abstract, T14D-01.
Miyawaki et al., 2017, Development of direct dating methods of fault gouges: Deep drilling into Nojima Fault, Japan. AGU 2017 Fall meeting abstract, T21C-0568.