[SRD33-P05] メキシコ・ロスガトス鉱床に産する鉱石の組織構造と鉱物化学
キーワード:メキシコ、ロスガトス、浅熱水性銀ー鉛ー亜鉛鉱床、鉱化作用
ロスガトス鉱床 (Los Gatos deposit) は,メキシコ合衆国北西部,Sierra Madre Occidentalと呼ばれる古第三紀火成岩地帯中に位置する浅熱水性鉱脈型Ag-Pb-Zn鉱床であり,鉱脈は上部白亜系から古第三系の安山岩,デイサイトに胚胎されている.本鉱床については,地質調査や試錐調査が行われているが,鉱化作用についての研究は不十分である.そこで,本研究では産出鉱物とその組織の記載,化学分析を行うことで,ロスガトス鉱床の鉱化作用の解明を試みた.
ロスガトス鉱床の鉱脈は,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,石英を主とし,部分的に蛍石,黄鉄鉱,黄銅鉱,白鉄鉱,針銀鉱,ポリバス鉱,含銀四面銅鉱などを伴う.これらの量比と成長構造から,鉱脈は外側から順にZONE 1: brecciated zone, ZONE 2: banded sulfides zone, ZONE 3: massive sulfides zone, ZONE 4: fine-banded sulfides zone, ZONE 5: fine quartz zone, ZONE 6: coarse quartz zoneの6つに分類される.ZONE 1からZONE 3までの閃亜鉛鉱は,FeS含有量の違いによる累帯構造または縞状構造を持つが,ZONE 4の閃亜鉛鉱は内部に多量の細粒の硫化鉱物 (<50μm) を含むため,構造を観察することはできなかった.また,閃亜鉛鉱のFeS含有量は2.45 mol%から22.02 mol%まで幅を持ち,鉱脈中心に向けて増加傾向であった. このFeS含有量と閃亜鉛鉱中の硫化鉱物の産状からZONE 4からZONE 6とZONE 1からZONE 3は異なる鉱化作用で形成されたことが示唆される.
これらの特徴と産出鉱物から,鉱化作用は前期と後期に大きく分けられる.前期鉱化作用は閃亜鉛鉱,方鉛鉱といったZn-Pbの鉱化作用で特徴づけられ,閃亜鉛鉱の構造から,鉱化流体の組成や温度が繰り返し変化したことが示唆される.後期鉱化作用は閃亜鉛鉱中および方鉛鉱中に産する銀鉱物の形成で特徴づけられ,これらの産状と閃亜鉛鉱のFeS含有量から,新たにAg, Fe, Sに富む鉱化流体が供給されたことが示唆される.また,後期鉱化作用では,前期鉱化作用で形成された閃亜鉛鉱が流体の供給により溶解し,その間隙に硫化鉱物が沈殿したことが推察される.
ロスガトス鉱床の鉱脈は,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,石英を主とし,部分的に蛍石,黄鉄鉱,黄銅鉱,白鉄鉱,針銀鉱,ポリバス鉱,含銀四面銅鉱などを伴う.これらの量比と成長構造から,鉱脈は外側から順にZONE 1: brecciated zone, ZONE 2: banded sulfides zone, ZONE 3: massive sulfides zone, ZONE 4: fine-banded sulfides zone, ZONE 5: fine quartz zone, ZONE 6: coarse quartz zoneの6つに分類される.ZONE 1からZONE 3までの閃亜鉛鉱は,FeS含有量の違いによる累帯構造または縞状構造を持つが,ZONE 4の閃亜鉛鉱は内部に多量の細粒の硫化鉱物 (<50μm) を含むため,構造を観察することはできなかった.また,閃亜鉛鉱のFeS含有量は2.45 mol%から22.02 mol%まで幅を持ち,鉱脈中心に向けて増加傾向であった. このFeS含有量と閃亜鉛鉱中の硫化鉱物の産状からZONE 4からZONE 6とZONE 1からZONE 3は異なる鉱化作用で形成されたことが示唆される.
これらの特徴と産出鉱物から,鉱化作用は前期と後期に大きく分けられる.前期鉱化作用は閃亜鉛鉱,方鉛鉱といったZn-Pbの鉱化作用で特徴づけられ,閃亜鉛鉱の構造から,鉱化流体の組成や温度が繰り返し変化したことが示唆される.後期鉱化作用は閃亜鉛鉱中および方鉛鉱中に産する銀鉱物の形成で特徴づけられ,これらの産状と閃亜鉛鉱のFeS含有量から,新たにAg, Fe, Sに富む鉱化流体が供給されたことが示唆される.また,後期鉱化作用では,前期鉱化作用で形成された閃亜鉛鉱が流体の供給により溶解し,その間隙に硫化鉱物が沈殿したことが推察される.