日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS04] Nankai Trough Seismogenic Zone Experiment toward the final challenge

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:金川 久一(千葉大学大学院理学研究科)、Gregory F Moore (University of Hawaii at Manoa)、木下 正高(東京大学地震研究所、共同)、Keir Becker(University of Miami)

[SSS04-P07] 炭質物における熟成度と摩擦係数の関係

*金木 俊也1廣野 哲朗1 (1.大阪大学大学院理学研究科)

キーワード:摩擦実験、炭質物、熱熟成

地震時の震源核形成・破壊伝播過程を理解する上で,断層岩の強度は最も重要なパラメータの一つである.滑り速度が小さい場合,岩石の定常状態での摩擦係数はその種類によらず一定で,おおよそ0.65–0.80程度の値を取ると報告されている.一方で滑り速度が大きくなると(0.1 m/s以上),様々な断層弱化過程が働くことにより,定常状態での摩擦係数は0.1–0.4程度まで低下することが知られている.さらに,滑り速度が小さい場合においても,断層岩中に存在する摩擦強度の低い鉱物によって断層岩全体の摩擦強度が低くなることも報告されている.
 グラファイトは摩擦係数が0.1–0.2という極めて低い摩擦強度を持っており,しばしば活断層やプレート境界断層の滑り挙動に影響を与えうることが報告されている.炭質物はグラファイトの前駆体であり,プレートの沈み込みに伴う続成・変成作用を受けてグラファイト化することが知られている.しかし,炭質物の熟成に伴う摩擦強度の変化は未だ不明である.そのため本研究では,炭質物の熟成度が摩擦特性に与える影響について実験的に明らかにし,炭質物を含む断層の地震時の滑り挙動に与える影響の解明を目指す.本発表では摩擦実験結果の速報をお伝えする予定である.