13:45 〜 14:00
[SSS08-18] 活断層詳細デジタルマップ[新編]の刊行
キーワード:断層線情報、断層関連情報、活断層帯、立体地形解析図、ビューア
中田・今泉(2002)による[活断層詳細デジタルマップ]の初版(以下,旧版と呼ぶ)から16年が経過し,その改訂版を新編(今泉・宮内・堤・中田編)として2018年3月に刊行した。新編では,旧版のすべての内容を見直し,検索表示機能を強化するために断層線情報に加え重要な断層関連情報を追記した。それらを見やすく表記するための基図(平面図と立体図)と最新のOSに対応した閲覧用ビューアを一新した。解説書を3部構成とし,第1部では上記の編集過程,活断層帯の設定,活断層帯の地域性や活断層から発生する地震の多様性について概説した。第2部では高分解能DEMを活用した立体地形解析図の作成原理と活断層判読への応用について解説した。第3部はユーザマニュアルとしてビューアの動作環境や使い方を中心に解説した。増加した情報量と操作速度を高めるために,提供メディアとしてUSBメモリを採用した。以下にその概要を述べる。
断層線情報と活断層帯:原則として旧版の著者による判読に基づくが,作業上での明白な誤記・誤写を修正,記載漏れを追記した。旧版以降の新知見については,協力者の支援を得て,編者の判断で最小限の追加を行うとともに,新編では断層の走向と変位様式が同じという特徴を重視した活断層のグループ化を行い,245の活断層帯(旧版では150)を設定した。 活断層の定義と凡例:旧版における活断層の定義を踏襲し,50万年(第四紀中期)以降に活動した証拠(断層変位地形)の確度に従い,「活断層」と「推定活断層」の2種類とした。地下構造探査の記録に基づく「伏在活断層」の凡例と,文献に基づく「地表地震断層」の凡例を新たに設けた。 基図:基図の作成は,(株)横山空間情報研究所が行った。平面図には国土地理院電子地形図(タイル)とDEMベースの斜度図を用意した。立体図には立体地形図と立体斜度図を使用し,とくに活断層変位地形が理解しやすいように断層線情報を重ねた立体活断層図(アナグリフ)を表記した。 断層関連情報と文献情報:2017年8月までの文献に基づいて,断層変位地形・変位基準などの断層諸元情報(一部判読),トレンチ調査の位置,地表地震断層の位置,地下構造探査測線の位置を収録・表記した。また,活断層調査に関連する文献情報も網羅的に収集し,活断層帯ごとに整理し合わせて収録した。 ビューアの更新:ビューアの作成・更新は(株)応用地質が行った。自社ソフトウエアMAGISを新編用にカスタマイズし,ビューア機能に検索機能と簡便な計測機能を加えた。OSはMicrosoft Windows 7(32bit,64bit)以降に対応する。閲覧・印刷のみでありGISデータ等の電子ファイル出力機能はない。
付録の赤青メガネを利用して,ユーザはだれでも立体視が容易となり,地形と活断層の関係を3次元の世界で体感できることが大きな前進である。また,検索機能を利用して,閲覧したい活断層を探しやすくなった。新たに括られた活断層帯として,東北地方の出戸西方断層帯、横浜断層帯、仁賀保断層帯、中部地方の国中平野北断層帯、板取断層帯、中国地方の栄谷断層帯、奈古断層帯、地福断層帯、九州地方の宇美断層帯、牛頸山北麓断層帯、日向峠-小笠木峠断層帯、佐賀平野北縁断層帯、市来断層帯などがある。旧版で収録漏れが指摘されていた高山盆地周辺では複数の活断層帯も追記した。245の活断層帯はそのまま起震断層帯とはならないが,活断層帯の独立性や断層線の詳細な情報は現在課題となっている活断層帯のセグメント区分に有効なヒントとなるであろう。2000年代に入って頻発する地表地震断層を伴う内陸直下型地震の諸例は極めて多様であり,個々の活断層から固有規模の地震が発生することを前提としたこれまで地震の長期評価の難しさを示している。活断層と地震の関係,活断層から発生する地震の多様性を解明するためには,活断層の地表情報のみならず活断層-震源断層システムの視点をもった総合的研究が産学官の協働作業によって推進されることが必須である。そのために本書(本マップ)が有効に活用され,震災軽減に貢献することを強く期待したい。なお,本書の作成に携わった共著者は以下の通りである。阿部恒平・佐々木達哉・下山奈緒・立石 良・土屋絵菜・三輪敦志・吉兼理説(応用地質株式会社),横山隆三・白澤道夫(株式会社横山空間情報研究所),越後智雄(一般財団法人地域地盤環境研究所)。
断層線情報と活断層帯:原則として旧版の著者による判読に基づくが,作業上での明白な誤記・誤写を修正,記載漏れを追記した。旧版以降の新知見については,協力者の支援を得て,編者の判断で最小限の追加を行うとともに,新編では断層の走向と変位様式が同じという特徴を重視した活断層のグループ化を行い,245の活断層帯(旧版では150)を設定した。 活断層の定義と凡例:旧版における活断層の定義を踏襲し,50万年(第四紀中期)以降に活動した証拠(断層変位地形)の確度に従い,「活断層」と「推定活断層」の2種類とした。地下構造探査の記録に基づく「伏在活断層」の凡例と,文献に基づく「地表地震断層」の凡例を新たに設けた。 基図:基図の作成は,(株)横山空間情報研究所が行った。平面図には国土地理院電子地形図(タイル)とDEMベースの斜度図を用意した。立体図には立体地形図と立体斜度図を使用し,とくに活断層変位地形が理解しやすいように断層線情報を重ねた立体活断層図(アナグリフ)を表記した。 断層関連情報と文献情報:2017年8月までの文献に基づいて,断層変位地形・変位基準などの断層諸元情報(一部判読),トレンチ調査の位置,地表地震断層の位置,地下構造探査測線の位置を収録・表記した。また,活断層調査に関連する文献情報も網羅的に収集し,活断層帯ごとに整理し合わせて収録した。 ビューアの更新:ビューアの作成・更新は(株)応用地質が行った。自社ソフトウエアMAGISを新編用にカスタマイズし,ビューア機能に検索機能と簡便な計測機能を加えた。OSはMicrosoft Windows 7(32bit,64bit)以降に対応する。閲覧・印刷のみでありGISデータ等の電子ファイル出力機能はない。
付録の赤青メガネを利用して,ユーザはだれでも立体視が容易となり,地形と活断層の関係を3次元の世界で体感できることが大きな前進である。また,検索機能を利用して,閲覧したい活断層を探しやすくなった。新たに括られた活断層帯として,東北地方の出戸西方断層帯、横浜断層帯、仁賀保断層帯、中部地方の国中平野北断層帯、板取断層帯、中国地方の栄谷断層帯、奈古断層帯、地福断層帯、九州地方の宇美断層帯、牛頸山北麓断層帯、日向峠-小笠木峠断層帯、佐賀平野北縁断層帯、市来断層帯などがある。旧版で収録漏れが指摘されていた高山盆地周辺では複数の活断層帯も追記した。245の活断層帯はそのまま起震断層帯とはならないが,活断層帯の独立性や断層線の詳細な情報は現在課題となっている活断層帯のセグメント区分に有効なヒントとなるであろう。2000年代に入って頻発する地表地震断層を伴う内陸直下型地震の諸例は極めて多様であり,個々の活断層から固有規模の地震が発生することを前提としたこれまで地震の長期評価の難しさを示している。活断層と地震の関係,活断層から発生する地震の多様性を解明するためには,活断層の地表情報のみならず活断層-震源断層システムの視点をもった総合的研究が産学官の協働作業によって推進されることが必須である。そのために本書(本マップ)が有効に活用され,震災軽減に貢献することを強く期待したい。なお,本書の作成に携わった共著者は以下の通りである。阿部恒平・佐々木達哉・下山奈緒・立石 良・土屋絵菜・三輪敦志・吉兼理説(応用地質株式会社),横山隆三・白澤道夫(株式会社横山空間情報研究所),越後智雄(一般財団法人地域地盤環境研究所)。