14:00 〜 14:15
[SSS09-02] 地殻歪み速度分布の推定におけるShen et al. (1996)の方法の自己撞着性
GNSS観測で得られた速度データから地表の歪み速度分布を推定するのにShen et al. (1996)の方法がよく用いられている(e.g., Sagiya et al., 2000)。この手法により地表の各点で速度と歪み速度の値を同時に推定することができ、それらの推定値は空間的に滑らかに変化するという特長がある。しかし、速度とその微分である歪み速度が独立に求められるが、両者の関係は整合的だろうか。具体的には、求められた速度を空間微分したときに、求められた歪み速度と一致するのだろうか。本発表では、解析的な計算により、両者が一般には一致しないことを示す。すなわち、Shen et al. (1996)の方法には、実は自己撞着性が内在しているのである。
簡単のため、1次元空間x上のスカラー関数yを考え、複数のデータが与えられたときに、Shen et al. (1996)の方法に基づいてyとその微分vを求める解析的表現を導く。自己整合条件dy/dx=vが成り立つかを検証すると、自明な場合を除いては等号が成立しないことが明らかとなった(2次元以上の場合も同様である)。そこで、数値実験に基づき不一致が生じる背景や、その程度について議論する。
簡単のため、1次元空間x上のスカラー関数yを考え、複数のデータが与えられたときに、Shen et al. (1996)の方法に基づいてyとその微分vを求める解析的表現を導く。自己整合条件dy/dx=vが成り立つかを検証すると、自明な場合を除いては等号が成立しないことが明らかとなった(2次元以上の場合も同様である)。そこで、数値実験に基づき不一致が生じる背景や、その程度について議論する。