[SSS09-P01] 次世代GNSS統合解析システムの試作
キーワード:GNSS、キネマティック、精密単独測位
国土地理院では、任意のGNSS観測点について、GEONETのルーチン解と整合する座標解を得るためのGPS統合解析システムの運用を行っており、現在気象庁、海上保安庁、防災科研、神奈川県温泉地学研究所、産業総合研究所等の外部機関が運用するGNSS観測点のデータを収集・解析して日々座標値の推定を行っている(例えば畑中・他, 2011)。本システムは、統合対象点が1周波観測点の場合にも対応可能であるという特色を有しているが、近年外部機関が運用する1周波観測点のほとんどが2周波観測点に置き換わってきている。
一方、宗包(2017)では、電子基準点のGNSSデータについて精密単独測位(PPP)を行い、キネマティック解を推定する電子基準点キネマティック解析プロトタイプシステムを開発して実運用している。精密単独測位では、基本的に2周波観測点のみが解析の対象となるものの、解析する網の違いによる座標解のオフセットの問題が生じないため解析が容易である。また、観測点が追加された場合にも、網を組見直すなどの手間が生じず適応が容易である。すなわち、本システムを拡張してGNSS統合解析システムを構築した場合、現在運用中のGPS統合解析システムに比べて運用面で負担が軽減されるというメリットがある。また、本システムでは新たにキネマティック解も同時に生成される。このキネマティック解は例えば1日毎の平均化処理を行うことにより、長期的な監視にも耐えうる品質を有しているため(宗包, 2017)、本システムを拡張したGNSS統合解析システムでは、地震や短期的なマグマ貫入などキネマティック解が有効な現象から、地震の余効変動や長期的なマグマだまりの増圧・減圧まで、幅広い現象を単一の解析システムでカバーできる可能性がある。ただし、一方で一般的には相対的な基線解析に比べて精密単独測位の精度が劣ることが知られており、GPS統合解析システムの時系列のほうが、特に基線長が短い場合には精度が高いことが推察される。
そこで、本研究では試験的に電子基準点キネマティック解析プロトタイプシステムを拡張し、外部機関の観測点を解析するように改修した。さらに、2014年までのさかのぼり解析を実施した。発表では、推定された座標解について、従来のGPS統合解析システムによる座標解との比較を行い、長期的な現象の監視におけるインパクトについて議論する。また、新たに得られるキネマティック解について、近年発生したさまざまな短期的現象(地震・マグマ貫入イベントなど)を捉えた時系列を紹介し、その利点について議論する。
一方、宗包(2017)では、電子基準点のGNSSデータについて精密単独測位(PPP)を行い、キネマティック解を推定する電子基準点キネマティック解析プロトタイプシステムを開発して実運用している。精密単独測位では、基本的に2周波観測点のみが解析の対象となるものの、解析する網の違いによる座標解のオフセットの問題が生じないため解析が容易である。また、観測点が追加された場合にも、網を組見直すなどの手間が生じず適応が容易である。すなわち、本システムを拡張してGNSS統合解析システムを構築した場合、現在運用中のGPS統合解析システムに比べて運用面で負担が軽減されるというメリットがある。また、本システムでは新たにキネマティック解も同時に生成される。このキネマティック解は例えば1日毎の平均化処理を行うことにより、長期的な監視にも耐えうる品質を有しているため(宗包, 2017)、本システムを拡張したGNSS統合解析システムでは、地震や短期的なマグマ貫入などキネマティック解が有効な現象から、地震の余効変動や長期的なマグマだまりの増圧・減圧まで、幅広い現象を単一の解析システムでカバーできる可能性がある。ただし、一方で一般的には相対的な基線解析に比べて精密単独測位の精度が劣ることが知られており、GPS統合解析システムの時系列のほうが、特に基線長が短い場合には精度が高いことが推察される。
そこで、本研究では試験的に電子基準点キネマティック解析プロトタイプシステムを拡張し、外部機関の観測点を解析するように改修した。さらに、2014年までのさかのぼり解析を実施した。発表では、推定された座標解について、従来のGPS統合解析システムによる座標解との比較を行い、長期的な現象の監視におけるインパクトについて議論する。また、新たに得られるキネマティック解について、近年発生したさまざまな短期的現象(地震・マグマ貫入イベントなど)を捉えた時系列を紹介し、その利点について議論する。