日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 地殻構造

2018年5月24日(木) 10:45 〜 12:15 301A (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:青柳 恭平(電力中央研究所)、座長:宮町 宏樹(鹿児島大学)

11:00 〜 11:15

[SSS11-07] 東京海洋大学による駿河湾における第2回海域2次元反射法・屈折法地震探査(序報)

*鶴我 佳代子1関野 善広1神田 穣太1近藤 逸人1林 敏史1會川 鉄太郎1馬塲 久紀2菅原 博1 (1.東京海洋大学、2.東海大学)

キーワード:駿河湾、反射法・屈折法地震探査、沈み込み

駿河湾は陸/海のプレート境界である南海トラフの東端に位置し、東海地震の震源想定域として地震や地殻変動などの陸上観測網の整備が進み重点的な観測が実施されている。その一方、海域の地下構造調査はまだ十分でなく、駿河トラフ全体の沈み込み構造を俯瞰できるものではなく、正確な強震動予測など防災・減災の観点からもその詳細調査が急務となっている。そこで我々は、東京海洋大学が2015年度に新たに導入した可搬型海域2次元地震探査システム用い、2016年11月に駿河湾において第1回目の地震探査(総測線長約78 km)を実施した(鶴我ほか, 2016)。そして再び2017年11月、我々はこのシステムを用い、第2回目の駿河湾での地震探査を行った。本発表は探査の概要とその成果の第一報を報告するものである。
 我々は2017年11月14~16日、静岡県駿河湾内において、エアガン震源を用いた2次元反射法探査および屈折法地震探査を同時に実施した。調査測線は、駿河湾内の中央トラフ沿いH29-L01、北部H29-L02、および中部東側H29-L03の3つの測線(総測線長約47km)を設定した。反射法地震探査システムは、10ftコンテナ規格の格納庫に入ったコンプレッサー・受振アレイ部および、エアガン震源およびPC等の制御・収録システムにより構成された。発震はBolt社製エアガン1500LL(350 in3)3基で構成されるTri-Gun(エア総容量1,050 in3)を船尾右舷より曳航した。受振アレイは、Hydroscience社製デジタルストリーマーケーブル(長さ600 m、センサー間隔6.25 m、96チャンネル、10ftコンテナ相当規格)と最後尾の測位用テールブイで構成される。システムは全て可搬型になっており、東京海洋大学練習船「神鷹丸」(総トン数 986トン、全長65 m、幅12.10 m)の後部甲板および室内観測室に設置した。屈折法地震探査では、東海大学により勝島型自己浮上式海底地震計4台がH29-L01測線北部沿いに臨時配置された。海底地震計は地震計3成分とハイドロフォン1成分の4成分観測を実施した(今村ほか, 本学会)。船速3.5ノット程度で航行し、発震間隔は25m(H29-L03測線のみ50 m)で、合計1555発震点となった。
 一次解析の結果からは、駿河湾北部を東西に横断するH29-L02測線(約12.2km)下において、伊豆半島側のプレートの沈み込み上面を表すと思われる西方傾斜の反射面が連続的に確認された。また富士川河口沖においては断層群らしき反射相の様相も認められた。駿河湾中央のトラフ沿いH29-L01測線(約26.2 km)では、焼津沖の海底谷の起伏が見られ、測線を北上するに伴い北部河川群からの堆積物が厚さを増し、H29-L02測線との交点付近では~500m程度の厚みを有することが分かった。
 詳細な構造解析については本発表にて報告する。

【謝辞】
本調査は、静岡県漁業協同組合連合会、駿河湾の漁業協同組合・漁業者の皆様の多大なるご協力のもと実施することができました。共同研究により東海大学には実習船「北斗」による海上支援を頂き、本学練習船の安全な航行と調査航海にご協力いただきました。データ解析の一部は文部科学省「富士川河口断層帯における重点的な調査観測」(平成29年度)経費によって実施しました。心より御礼申し上げます。最後に地震探査航海に強力なサポートをしてくださった本学の「神鷹丸」乗組員、陸上支援をいただいた船舶・海洋オペレーションセンターのスタッフに感謝いたします。