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[SSS12-11] 2002~2004年豊後水道スロースリップに伴う応力変化と周辺域の地震活動の比較
キーワード:地震活動、スロースリップ、クーロン応力変化、豊後水道
豊後水道とその周辺域の直下では、長期的と短期的の2種のスロースリップイベント(SSE)が繰り返し発生している。2002年から2004 年にかけて豊後水道で長期的SSEが発生し、2003~2004年には同地域から四国西部にかけて数回の短期的SSEが発生した (Hirose and Obara, 2005; Ozawa et al., 2007)。勝俣(2011)は、豊後水道周辺域の地震活動を調べ、2002~2004年に地震の静穏化域(北緯33.55 度、東経132.85 度付近)と活発化域(北緯33.30度、東経132.15 度付近)が現れることを見出し、これを長期的SSEによる応力変化によるものと推論した。本研究では、同地域の地震活動を再解析し、静穏化・活発化域の分布とSSEに伴う応力変化の関係を調べた。
地震活動の解析は、勝俣(2011)とほぼ同じ条件で行った。気象庁一元化震源カタログから1998 ~2007 年に北緯31~35 度、東経130~135 度、深さ30~100kmで発生したM2.0 以上の地震3216 個を選び、ZMAP (Wiemer and Wyss, 1994)を用いてz値を計算した。ただし勝俣(2011)はz値を定義するための時間幅Twを2年としたが、本研究ではTwを0.5~2年の間で変化させた。Twが 2年のとき、勝俣(2011)が指摘した2002~2004年の静穏化(高z値)域と活発化(低z値)域が確認され、前者は短期的SSEの発生域の一部と重なった。一方、Twを1年以下にすると地震活動は短期的に大きく変化したが、2002~2004年を通じて、豊後水道周辺域全体で高z値が優勢な傾向が見られた。
次に、Hirose and Obara (2005)が求めたSSEの断層パラメータを用いて、クーロン応力変化(ΔCFF)の空間分布を計算した。ΔCFFの計算は、所定期間内に発生した全てのSSEについて行い、得られた値を合計した。長期的SSEの各年のすべり量は、モーメントマグニチュードの時間発展(Ozawa et al., 2007)から推定した。受け手側の断層パラメータは、上記の静穏化域および活発化域で発生する地震に典型的に見られる発震機構解に基づいて仮定した。求められたΔCFFの空間分布は複雑な形状を示したが、静穏化域は負のΔCFFの領域、活発化域は正のΔCFFの領域と概ね重なり合った。これはSSEによる応力変化が地震の静穏化と活発化に影響を与えている可能性を改めて示唆する。
謝辞
気象庁一元化震源カタログのデータを使用し、解析にZMAP (Wiemer and Wyss, 1994)とMICAP-G(内藤・吉川, 1999)を使用しました。
参考文献
勝俣 (2011), JpGU, SCG058-20.
Hirose and Obara (2005), Earth Planets Space, 57, 961-972.
内藤・吉川(1999), 地震2, 52, 101-103.
Ozawa et al. (2007), J. Geophys. Res., 112, B05409, doi:10.1029/2006JB004643.
Wiemer and Wyss (1994), Bull. Seism. Soc. Am., 84, 900-916.
地震活動の解析は、勝俣(2011)とほぼ同じ条件で行った。気象庁一元化震源カタログから1998 ~2007 年に北緯31~35 度、東経130~135 度、深さ30~100kmで発生したM2.0 以上の地震3216 個を選び、ZMAP (Wiemer and Wyss, 1994)を用いてz値を計算した。ただし勝俣(2011)はz値を定義するための時間幅Twを2年としたが、本研究ではTwを0.5~2年の間で変化させた。Twが 2年のとき、勝俣(2011)が指摘した2002~2004年の静穏化(高z値)域と活発化(低z値)域が確認され、前者は短期的SSEの発生域の一部と重なった。一方、Twを1年以下にすると地震活動は短期的に大きく変化したが、2002~2004年を通じて、豊後水道周辺域全体で高z値が優勢な傾向が見られた。
次に、Hirose and Obara (2005)が求めたSSEの断層パラメータを用いて、クーロン応力変化(ΔCFF)の空間分布を計算した。ΔCFFの計算は、所定期間内に発生した全てのSSEについて行い、得られた値を合計した。長期的SSEの各年のすべり量は、モーメントマグニチュードの時間発展(Ozawa et al., 2007)から推定した。受け手側の断層パラメータは、上記の静穏化域および活発化域で発生する地震に典型的に見られる発震機構解に基づいて仮定した。求められたΔCFFの空間分布は複雑な形状を示したが、静穏化域は負のΔCFFの領域、活発化域は正のΔCFFの領域と概ね重なり合った。これはSSEによる応力変化が地震の静穏化と活発化に影響を与えている可能性を改めて示唆する。
謝辞
気象庁一元化震源カタログのデータを使用し、解析にZMAP (Wiemer and Wyss, 1994)とMICAP-G(内藤・吉川, 1999)を使用しました。
参考文献
勝俣 (2011), JpGU, SCG058-20.
Hirose and Obara (2005), Earth Planets Space, 57, 961-972.
内藤・吉川(1999), 地震2, 52, 101-103.
Ozawa et al. (2007), J. Geophys. Res., 112, B05409, doi:10.1029/2006JB004643.
Wiemer and Wyss (1994), Bull. Seism. Soc. Am., 84, 900-916.