日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS14] 強震動・地震災害

2018年5月21日(月) 13:45 〜 15:15 A10 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:栗山 雅之(一般財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 地震工学領域)、座長:加瀬 裕子前田 宜浩

13:45 〜 14:00

[SSS14-12] 2016年4月14日と16日熊本地震の動力学シミュレーションに関する研究

*司 宏俊1石川 和也2荒井 達朗2張 振国3余 厚雲4陳 暁非3,4 (1.株式会社サイスモ・リサーチ、2.東北電力株式会社、3.南方科技大学、4.中国科学技術大学)

キーワード:2016年熊本地震、動力学シミュレーション、地震動

2016年4月14日に発生したMw6.2熊本地震に続いて、4月16日未明にMw7.0の地震が発生した。両地震では最大震度7が観測された。4月14日の地震は日奈久断層の北部の活動によるもので、4月16日の地震は主に布田川断層によって起きたものとされている。また、4月16日の地震では、地表断層が確認されている。この二つの地震の特徴としては、いずれの地震も震源は日奈久断層帯の北部に位置するが、4月14日の地震は日奈久断層の北部のみで発生し、4月16日の地震は、日奈久断層から破壊が始まり、布田川断層まで断層破壊が広がり大地震に成長していた。本研究では、動力学シミュレーションにより、この2地震の断層破壊を再現するとともに、4月16日地震による地震動も計算することを試みた。

4月16日地震の地表断層から、当該地震の断層形状が非常に複雑であるため、本研究では、このような複雑な形状もモデル化でき、かつ地震波動場もシミュレートできるCG-FDM手法(Zhang et al., 2014)を用いた。計算に用いた断層モデルは地表断層に沿う形でモデル化し、傾斜角はKobayahi et al. (2017)などを参考に70°とした。一方、4月14日の地震については、震源位置などから、断層面は日奈久断層と並行するようにして、傾斜角は85°とした。応力場やDcなどのパラメータは深さによって変化させて設定した。

設定した応力場とその他の計算条件のもとで行った動力学シミュレーションの結果、4月14日の地震については、断層破壊は日奈久断層の北部にとどまった。一方、4月16日の地震は、断層破壊は日奈久断層の北部から始まり、布田川断層に乗り移り、設定した断層の全域まで及んだ。いずれの地震についても、断層すべり量はインバージョンの結果と特徴的に整合することを確認した。また、計算波形は多くの観測点で特徴的に観測記録とおおむね整合することも確認された。