12:00 〜 12:15
[SSS15-17] 火山砕屑性堆積物の摩擦すべり挙動の実験的検証
キーワード:地震、断層すべり挙動、摩擦実験、火山砕屑性堆積物
相模トラフや房総沖日本海溝では過去に複数の大地震が発生しているが,プレート境界断層でのボーリング調査は行われておらず,過去の巨大地震時の断層すべり挙動は未だ不明である.一方で房総半島に発達する付加地質体は,過去にプレート境界の地震発生帯で底付けされた地質体であり,過去のプレート境界断層を直接観察することが可能である.また,そのうち房総半島江見層群は,伊豆弧からの火山性砕屑物が広く分布しているという点で非常に特徴的である.
本研究では,かつてのプレート境界断層を分析することで,過去の地震における断層すべり挙動について推定することを目的として,過去の房総沖プレート境界断層の天然試料について2.0×10–5–1.0 m/sの速度領域で摩擦実験を行った.その結果,乾燥条件では1.0×10–1 m/s以上の速度領域で摩擦係数が弱化するのに対し,湿潤条件では1.0×10–2 m/s以上の速度領域で摩擦強度が急激に弱化することが明らかになった.この傾向は,従来までの他の主要鉱物を用いた実験結果と比較しても極めて特異である.これはすなわち,火山性砕屑物では火山ガラスの水和や摩耗による強度低下が起こっている可能性を示唆している.
この火山ガラスの特性を調べるため,薄片観察による微小変形構造を確認する他,水和した火山ガラス単体での摩擦係数や硬度の測定を進行中である.本発表では,以上の結果をお伝えするとともに,房総沖プレート境界断層物質の鉱物組成が,過去の巨大地震における断層すべり挙動にどのような影響を与えていたかについて議論したい.
本研究では,かつてのプレート境界断層を分析することで,過去の地震における断層すべり挙動について推定することを目的として,過去の房総沖プレート境界断層の天然試料について2.0×10–5–1.0 m/sの速度領域で摩擦実験を行った.その結果,乾燥条件では1.0×10–1 m/s以上の速度領域で摩擦係数が弱化するのに対し,湿潤条件では1.0×10–2 m/s以上の速度領域で摩擦強度が急激に弱化することが明らかになった.この傾向は,従来までの他の主要鉱物を用いた実験結果と比較しても極めて特異である.これはすなわち,火山性砕屑物では火山ガラスの水和や摩耗による強度低下が起こっている可能性を示唆している.
この火山ガラスの特性を調べるため,薄片観察による微小変形構造を確認する他,水和した火山ガラス単体での摩擦係数や硬度の測定を進行中である.本発表では,以上の結果をお伝えするとともに,房総沖プレート境界断層物質の鉱物組成が,過去の巨大地震における断層すべり挙動にどのような影響を与えていたかについて議論したい.