日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT48] 合成開口レーダー

2018年5月21日(月) 15:30 〜 17:00 A08 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:森下 遊(国土地理院)、小林 祥子(玉川大学)、木下 陽平(一般財団法人リモート・センシング技術センター、共同)、阿部 隆博(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)、座長:小林 祥子(玉川大学)、木下 陽平(RESTEC)

15:45 〜 16:00

[STT48-08] ALOS-2/PALSAR-2による水稲の後方散乱係数の成長特性を用いた水田・非水田の分類に関する研究

*廣瀬 智之1島田 政信1 (1.東京電機大学)

キーワード:だいち2号、水田

米は東南アジアを中心に広い地域で食されており、小麦やトウモロコシ並ぶ世界三大穀物の一つである。近年、世界人口の増加や気候変動に伴い米の安定供給が求められている。水稲の作付面積の把握は米の生産管理把握のために重要な要素の一つである。農林水産省では毎年、水稲の作付面積調査を全都道府県の作付された土地について行っている。しかし、職員又は統計調査員による実測調査であるため、より効率的で精密な調査方法の確立が求められている。

合成開口レーダ(SAR: synthetic Aperture Radar)は、レーダ自身がマイクロ波を射出し、観測対象物に当たって散乱し、レーダの方向に跳ね返ってきたマイクロ波(後方散乱係数)を計測する技術である。そのため、光学センサとは異なり、天候や昼夜に依存せずに地表面を観測することが出来る。加えて一回の観測で広域を観測することが出来る。そのため、農業分野において有用である。
本研究では、JAXAの「だいち2号」(ALOS-2)に搭載されたPALSAR-2の2014~2017年までの観測データ(合計38シーン)を用いた。水稲が作付された圃場の後方散乱係数の時系列変化について最小二乗法を用いてモデル化を行った。各係数の分布特性から水田・非水田の境界線を目視で設定し、二値化した分類図を作成した。精度検証として、Google Earthに分類図を重ね合わせて、現地調査で水稲が作付された圃場、200カ所について検証を行った。その結果、分類精度は87.5%を確認した。誤抽出の原因としては、誤分類された圃場付近に鉄塔があり、その影響があったと考えられる。