[STT48-P02] InSAR時系列解析による御前崎、潮岬、室戸岬、足摺岬周辺の定常的な地殻変動
キーワード:干渉SAR時系列解析、ALOS/PALSAR、地殻変動、南海トラフ
気象研究所では、プレート境界におけるスロースリップ、プレスリップなど固着状態の変化を検出するための手法の高度化の手段として、衛星SARデータを用いた面的な地殻変動検出に取り組んでいる。特に、近い将来の発生が懸念されている南海トラフの大規模地震に着目し、プレートの沈み込み域に近く固着状態の変化を受けやすい東海から四国にかけての岬付近を対象として解析を行った。
解析には、スタンフォード工科大学が開発したStaMPS (Hooper et al., 2004)を用いたPS法およびSBAS法による時系列解析を行い、これらの統合解析から対象地域における解析期間中の定常的な変動速度を計算した。解析した各地域のデータは以下のとおりで、いずれも国産のSAR衛星「だいち」(運用期間:2006年から2011年)のPALSARデータを用いた。
御前崎:パス60(19シーン、114ペア) およびパス409(24シーン、156ペア)
潮岬 :パス65(10シーン、41ペア) およびパス414(17シーン、114ペア)
室戸岬:パス67(12シーン、44ペア) およびパス417(21シーン、127ペア)
足摺岬:パス70(14シーン、57ペア) およびパス420(20シーン、62ペア)
いずれのパスにおける解析についても、アーカイブの存在する全データ使用を原則としたが、得られた解析結果をチェックした上で明らかにエラーと考えるデータについては除外し、再計算を行った。得られた結果は次のとおりである(図1)。
御前崎:南行軌道(パス60)で約2cm/年の伸長、北行軌道(パス409)で約1cm/年の伸長
潮岬 :南行軌道(パス65)で2cm/年の伸長、北行軌道(パス414)で約1.5cm/年の短縮
室戸岬:南行軌道(パス67)で約2.5cm/年の伸長、北行軌道(パス417)で約1.5cm/年の短縮
足摺岬:南行軌道(パス70)で約4cm/年の伸長、北行軌道(パス420)で約1cm/年の短縮
御前崎周辺の解析結果を除いて、南行軌道で伸長、北行軌道で短縮の変動が認められるほか、相対的に南行軌道のほうが変動量は大きいことがわかった。これは南行軌道のほうが北行軌道よりもフィリピン海プレートの沈み込み方向に感度が良いためと考えられる。発表では、解析エリア内のGNSS観測結果との比較についても報告する。
本解析で用いたPALSARデータの一部は,国土地理院が中心となって進めている防災利用実証実験(地震WG)に基づいて観測・提供されたものである.また,一部はPIXELで共有しているものであり,宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学地震研究所との共同研究契約によりJAXAから提供されたものである.PALSARに関する原初データの所有権は経済産業省及びJAXAにある.なお,干渉画像の処理過程においては,SRTM4.1を元にしたDEHMを使用し,地図の描画にはGMTを用いた.関係者各位におかれては,ここに記してお礼申し上げる.
解析には、スタンフォード工科大学が開発したStaMPS (Hooper et al., 2004)を用いたPS法およびSBAS法による時系列解析を行い、これらの統合解析から対象地域における解析期間中の定常的な変動速度を計算した。解析した各地域のデータは以下のとおりで、いずれも国産のSAR衛星「だいち」(運用期間:2006年から2011年)のPALSARデータを用いた。
御前崎:パス60(19シーン、114ペア) およびパス409(24シーン、156ペア)
潮岬 :パス65(10シーン、41ペア) およびパス414(17シーン、114ペア)
室戸岬:パス67(12シーン、44ペア) およびパス417(21シーン、127ペア)
足摺岬:パス70(14シーン、57ペア) およびパス420(20シーン、62ペア)
いずれのパスにおける解析についても、アーカイブの存在する全データ使用を原則としたが、得られた解析結果をチェックした上で明らかにエラーと考えるデータについては除外し、再計算を行った。得られた結果は次のとおりである(図1)。
御前崎:南行軌道(パス60)で約2cm/年の伸長、北行軌道(パス409)で約1cm/年の伸長
潮岬 :南行軌道(パス65)で2cm/年の伸長、北行軌道(パス414)で約1.5cm/年の短縮
室戸岬:南行軌道(パス67)で約2.5cm/年の伸長、北行軌道(パス417)で約1.5cm/年の短縮
足摺岬:南行軌道(パス70)で約4cm/年の伸長、北行軌道(パス420)で約1cm/年の短縮
御前崎周辺の解析結果を除いて、南行軌道で伸長、北行軌道で短縮の変動が認められるほか、相対的に南行軌道のほうが変動量は大きいことがわかった。これは南行軌道のほうが北行軌道よりもフィリピン海プレートの沈み込み方向に感度が良いためと考えられる。発表では、解析エリア内のGNSS観測結果との比較についても報告する。
本解析で用いたPALSARデータの一部は,国土地理院が中心となって進めている防災利用実証実験(地震WG)に基づいて観測・提供されたものである.また,一部はPIXELで共有しているものであり,宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学地震研究所との共同研究契約によりJAXAから提供されたものである.PALSARに関する原初データの所有権は経済産業省及びJAXAにある.なお,干渉画像の処理過程においては,SRTM4.1を元にしたDEHMを使用し,地図の描画にはGMTを用いた.関係者各位におかれては,ここに記してお礼申し上げる.