日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT49] 空中からの地球計測とモニタリング

2018年5月21日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:楠本 成寿(富山大学大学院理工学研究部(理学))、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、小山 崇夫(東京大学地震研究所、共同)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)

[STT49-P09] 航空機搭載型センサ(ARTS-SEカメラシステム)の多視点画像から推定した地熱地帯のDSMの評価

*實渕 哲也1 (1.防災科学技術研究所)

キーワード:航空機搭載型画像センサ、SfM、火山観測、赤外リモートセンシング

防災科研(NIED)は1990年より火山観測用の独自の航空機搭載型画像分光装置を開発している.我々は,我々の第2.5世代の装置として,2015年6月に単発エンジン航空機搭載型放射伝達スペクトルスキャナ(the Airborne Radiative Transfer Spectral Scanner for a single-engine aircraft (ARTS-SE))を開発した. ARTS-SEは我々の以前の装置であるARTSのpush-broom方式のイメージングスペクトロメーターと新規に開発したカメラシステム:Structure and Thermal Information Capture (STIC)から構成される. STICは4つのカメラで構成される.その2つは可視カメラ,他の2つは熱赤外カメラである.STICの性能は,火山活動評価にオペレーショナルに利用できるSfM処理が可能な可視画像と熱赤外画像を取得することを考慮し設計されている.我々は継続的に,STICの画像データ処理手法の開発を実施している.

本研究では,STICの箱根山(大涌谷)の多視点観測画像から推定したDSMの評価結果について述べる.評価結果より,STICの多視点画像から推定したDSMの標高値と国土地理院発行の数値地図10mメッシュ標高の値は良い一致を示した.噴気に強く影響された領域以外では,その標高値の差異は, STICの可視カメラから求めたDSMでは,1~5m,STICの赤外カメラから求めたDSMでは,3~15m程度であった.また,大涌谷において,STICの赤外カメラはSTICの可視カメラでは噴気の影響でDSMが推定できない領域でも部分的にDSMの推定が可能であった.これらのDSMデータより,STICの可視カメラから空間分解能0.25mのオルソカラー画像を,STICの赤外カメラから空間分解能1.4mのオルソ輝度温度画像を推定できた.それらのGCPの精度は4~20m(RMS)程度であった.

これらの結果より,ARTS-SEのカメラシステムから求めたDSMはオペレーショナルな火山観測で活用できると思われる.