日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT50] 地震観測・処理システム

2018年5月23日(水) 15:30 〜 17:00 A10 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:吉見 雅行(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、座長:木村 武志(防災科学技術研究所)

15:30 〜 15:50

[STT50-01] 深層学習(コンボリューションニューラルネットワーク)を用いた地震波の初動検出

★招待講演

*小沢 光幸1川崎 慎治1東中 基倫1佐藤 比呂志2阿部 進3 (1.株式会社地球科学総合研究所、2.東京大学地震研究所地震予知研究センター 、3.石油資源開発株式会社 )

キーワード:地震波初動走時検出、深層学習、反射法データ解析

地震波形処理において、初動走時の検出は必要不可欠な処理であり、今までに自動検出の手法が数多く提案されてきている。しかしながら、こうした手法の精度はデータに含まれるノイズに大きく左右される。結果として、現在においても反射法処理ではS/Nの低いデータの初動検出は手動で行われており、反射法処理における全体プロセスの約20 %における時間が費やされる事例もある。

 本研究では初動値のデータと地震波のデータをペアのデータセットとして、深層学習を用いてDeep Convolution Neural Networks (CNNs)により初動検出を実現した。教師データとして、データ全体のうちの数%手動で読まれた初動データを用い、地震波データから初動値データへ変換させるモデルを学習により作成した。

 既存の手法と比較し本手法の利点は以下が挙げられる。(1)ランダムノイズや一過性のノイズに対してもロバストな結果を得られること。(2)一旦トレーニングを実施すれば、初動検出の計算速度が高速であること。(3)S波のような他のシグナルの検出にも適用可能性があること。こうした利点をもつ本手法は、反射法処理だけでなく自然地震の初動検出にも適している。本報告では陸上の反射法地震データに対して本手法を適用した結果を報告する。