16:00 〜 16:15
[SVC40-09] 北海道駒ヶ岳1929年火砕流の堆積構造と流動堆積機構
キーワード:北海道駒ヶ岳、火砕流、堆積構造、流動堆積機構
火砕流は,高温高速であることが多く,火山体周辺に多大な被害をもたらすことが多い.火山防災のためにも,火砕流の素過程としての流動堆積機構の理解が重要となって来ている.ここでは,北海道駒ヶ岳1929年火砕流の堆積構造に基づき,火砕流の流動堆積機構を議論する.北海道駒ヶ岳1929年火砕流堆積物の給源から西北西4.8kmの採石場では,層厚約10mの堆積物が見られる.ここでは層厚2.5m~3.5m程度の少なくとも5つのフローユニットが見られ,各フローユニットの上部には,層厚25cm~100cm程度の軽石濃集層が見られる.軽石濃集層は最大径40cmの比較的良く円磨された軽石を含み,一部クラストサポート構造を示す.各フローユニットの内部は,上部が比較的軽石に富む領域で区切られる層厚0.2~1.5m程度のサブユニットに区分できる.比較的伸びた軽石の長軸方向を測定した結果,卓越方向は,すべてのユニットでほぼ流れの方向と一致し,その集中度は基底部の方が比較的よく揃っており,軽石濃集層では比較的ばらつく傾向があることが明らかになった.各フローユニット上部にみられる軽石濃集層は,厚い火砕流(>数10m)の下部に集まった軽石や岩片が,剪断力の強い境界層付近で相互作用を行い,粗粒な軽石が上部に浮いて出来た構造であると考えられる.フローユニット内部のサブユニット構造は,各フローユニットが一度に堆積したのではなく,0.2-1.5m程度の厚さのサブユニット毎に順次堆積したことを示唆している.比較的伸びた軽石の卓越方向が全てのサブユニットで流れの方向とほぼ一致していることも,強い剪断力のかかる火砕流基底部の境界層付近で,順次層厚の薄い密度流を形成しつつ堆積していたことを示唆する.