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[SVC41-18] 浅間山のVLP活動,地震活動,地殻変動,火山ガス,全磁力変化から推定される火山活動
(2007年10月~2018年1月)
キーワード:長周期地震、火山ガス、全磁力
2007年10月から2018年1月までのVLP(ガス噴出イベント)活動,地震活動,N型地震及び長周期微動・地震の数,火山ガス放出量,小諸―嬬恋間の基線長変化,釜山近傍での全磁力変化を整理して比較した結果,以下の特徴が明らかになった.1) 2008年8月~2009年初めにかけての噴火活動に対応して,基線長の伸び,VLP活動,地震活動の活発化,火山ガスの増大が見られるが,その間はN型地震や長周期微動・地震の発生はほとんど見られない.2)2009年秋以降に基線長が縮みに転じるとVLP活動,火山ガス放出量は低下し,一方,N型地震や長周期微動・地震の頻度が増大する.3)2009年秋から観測を開始した釜山南の全磁力は,2013年半ばから永年変化のトレンドとずれ始め,2015年6月までの2年間で-10nTの全磁力変化が起こった.4)この全磁力変化は2015年6月の小規模噴火後,また元の永年変化のトレンドに戻って現在に至っている.全磁力の変化の開始時期は N型地震が頻発し始める時期と一致し,永年変化のトレンドからずれている時期とN型地震の発生時期が良く対応している.2015年6月に微噴火に先行して,基線長の伸びが見られると同時に,VLP活動が急激に活発化し,火山ガスの量も急増した.2015年秋以降は基線長が縮みに転じるのと時期を合わせてVLP活動や地震活動はやや低下するが,2017年1月頃から基線長の若干の伸びに対応して火山ガス放出量増大とVLP活動の活発化が見られる.3月以降はやや低下しつつも,長期的に見ると高いレベルを維持して推移している.
釜山南の-10nTの全磁力変化は,釜山火口直下の帯磁状態の変化を示していると考えられる.この全磁力変化を説明する一つの可能性としては,火口底直下深さ300m~800mの一辺200mの領域の消磁を考えれば,観測結果が説明できる.全磁力の永年トレンドが火口底直下での冷却による帯磁によって生じていたのであれば,この2年間の全磁力変化は,一旦,冷却が停滞するような事があったと考えることも出来る.この観測を説明する消磁域は2011年11月~12月に発生したN型地震の震源域とも対応している.N型地震の発生機構としては閉塞したクラックでの境界波動が有力である.また,浅間山で発生する非線形な長周期微動・地震は火道が閉塞状態に遷移するときに発生している可能性も指摘されている.この様なモデルが当てはまるとすると,2013年半ば以降,浅間山の火道浅部は徐々に閉塞状態が進行し,深部からの高温の火山ガスの放出が停滞して釜山火口直下では温度の上昇もしくは冷却の停滞が起こっていたと見られる.2015年6月の大規模なガス噴出イベント(小規模噴火)により,火道浅部では閉塞状態が解消し,火山ガス放出量が増大し,VLP活動の活発化や火映が見られるようになったと考えられる.それに併せて全磁力変化も元の永年変化のトレンドに戻ったと考えられる.
釜山南の-10nTの全磁力変化は,釜山火口直下の帯磁状態の変化を示していると考えられる.この全磁力変化を説明する一つの可能性としては,火口底直下深さ300m~800mの一辺200mの領域の消磁を考えれば,観測結果が説明できる.全磁力の永年トレンドが火口底直下での冷却による帯磁によって生じていたのであれば,この2年間の全磁力変化は,一旦,冷却が停滞するような事があったと考えることも出来る.この観測を説明する消磁域は2011年11月~12月に発生したN型地震の震源域とも対応している.N型地震の発生機構としては閉塞したクラックでの境界波動が有力である.また,浅間山で発生する非線形な長周期微動・地震は火道が閉塞状態に遷移するときに発生している可能性も指摘されている.この様なモデルが当てはまるとすると,2013年半ば以降,浅間山の火道浅部は徐々に閉塞状態が進行し,深部からの高温の火山ガスの放出が停滞して釜山火口直下では温度の上昇もしくは冷却の停滞が起こっていたと見られる.2015年6月の大規模なガス噴出イベント(小規模噴火)により,火道浅部では閉塞状態が解消し,火山ガス放出量が増大し,VLP活動の活発化や火映が見られるようになったと考えられる.それに併せて全磁力変化も元の永年変化のトレンドに戻ったと考えられる.