日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC41] 活動的火山

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 コンベンションホールA(CH-A) (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、青木 陽介(東京大学地震研究所、共同)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)、大倉 敬宏(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター)、奥村 聡(東北大学大学院理学研究科地学専攻地球惑星物質科学講座)、小園 誠史(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)、座長:為栗 健風間 卓仁

16:30 〜 16:45

[SVC41-35] ひまわり8号30秒データを用いた桜島爆発噴煙の成長過程の観測

*福井 敬一1佐藤 英一1新堀 敏基1 (1.気象庁気象研究所)

キーワード:ひまわり8号、30秒データ、噴煙柱、火山噴火、桜島、静止気象衛星

2015年7月7日より,正式運用を開始した静止気象衛星ひまわり8号は先代のひまわり7号(MTSAT-2)に対し,大幅な機能強化が図られた.搭載された可視赤外放射計(Advanced Himawari Imager, AHI)は観測波長帯数が5バンド(可視1,赤外4)から16バンド(可視3,近赤外3,赤外10)へと,空間分解能もほぼ倍に高解像度化した.さらに,全球の観測頻度も60分ごとから10分ごとに向上するとともに,日本域を観測する領域観測1,2(東西2000 km,南北1000 km)や火山観測や台風観測などに利用される東西南北1000km四方の可動領域(領域観測3.機動観測)では常時2.5分ごとの観測も可能となっている.機動観測では台風観測時以外はカムチャッカの火山を対象に観測している時間が多い(2018年1月末現在はマヨン火山を含む領域を観測している).また,東西1000km,南北500kmの領域2か所(領域観測4,5.ランドマーク観測)を常時約30秒ごとに観測している.領域観測4,5の主目的は,位置合わせや月・深宇宙を利用した感度校正(Bessho et al., 2016)であるが,軌道が安定していることもあり,火山噴火を主対象とした領域を観測することも多く,2018年1月末現在,領域4,5は各々,インドネシアのアグン火山,桜島を含む領域を観測している.
ひまわり8号の高解像度・高頻度観測によってMTSATに比べ小さな噴火も観測可能となるとともに,多バンド化によって,火山灰雲の高度推定精度が向上し,火山灰雲の光学的厚さや粒径などの情報を含む火山灰プロダクトの開発が進められている(Hayashi et al., 2016).さらに,火山ガス(SO2)の検出も可能となってきている(例えば,Ishii et al., 2018).
桜島を含む領域では,ひまわり30秒データとともに,全球観測,日本域観測のデータも利用できるため,10分毎に4回,1分間で4枚の画像を取得できる時間帯がある.さらに,同じ領域を領域観測3,4,5で観測することも可能であり,このような運用を行えば,さらに高頻度の観測も可能になる.
噴火直前の火口の温度状況や噴火直後の噴煙柱の成長の様子を捉えるため,ひまわり8号の30秒ごとの超高頻度観測(Super-Rapid Scan)データを利用した研究を開始した.Fukui et al. (2017) では桜島爆発直後の噴煙柱についてバンド3(波長0.64μm,空間分解能500m)の30秒毎データと桜島周辺で実施している高密度気象レーダーデータ(Sato et al., 2017),監視カメラ映像データとを比較検討した.今回はバンド3データと赤外データから求めた桜島爆発時の噴煙柱の上昇過程と噴煙上端の温度の時間推移から見た噴煙柱の成長過程について報告する.

参考文献
Bessho, K. et al. (2016) An Introduction to Himawari-8/9 —Japan’s New-Generation Geostationary Meteorological Satellites. J. Meteor. Soc. Japan, 94, 151-183, DOI:10.2151/jmsj.2016-009.
Fukui, K. et al. (2017) Observations of volcanic eruption columns using Himawari-8 Super-Rapid Scan 30-sec imagery. JpGU-AGU Joint Meeting 2017, MIS02-P03
Hayashi, Y. et al. (2016) Observation of volcanic ash clouds by Himawari-8. JpGU 2016, MIS26-06.
Sato, E. et al. (2017) Volcanic ash plume observation by weather radars. JpGU-AGU Joint Meeting 2017, MIS02-P01.
Ishii, K. et al. (2018) Using Himawari-8, estimation of SO2 cloud altitude at Aso volcano eruption, on October 8, 2016. Earth, Planets and Space, 70:19, DOI:10.1186/s40623-018-0793-9.