[SVC41-P06] 草津白根山の2018年噴火に伴いGNSS観測点で捉えられた地殻変動
キーワード:草津白根山、地殻変動、GNSS
草津白根山は白根山、逢ノ峰、本白根山などの火砕丘群からなる成層火山で、有史以来の活動は白根山の湯釜周辺で起きていた.2018年1月23日に本白根山の鏡池付近で噴火が発生した.気象庁が設置した逢ノ峰南東のGNSS観測点では,噴火の前後に地殻変動が観測された.本発表ではこの噴火に伴う地殻変動データから変動源を調べたので報告する.
草津白根山の本白根山では1月23日10時2分ごろに噴火が発生した.この噴火に先行して,9時59分ごろから火山性微動が発生していた.噴火後の観測で本白根山の鏡池の北側に新たな火口列が形成されたことが分かった.気象庁が草津白根山の火山活動を監視するために設置した逢ノ峰南東のGNSS連続観測点は噴火に伴い新たに形成された火口列から北に約500 mの位置にあった.この観測点で得られた30秒サンプリングのGNSSデータについてキネマティック解析をおこなった.その結果,微動の始まった9時59分頃から噴火の直前までに,北向きに約15cm,上向きに約7cmの変位が生じていたことが分かった.また,これらの変位は噴火発生後に逆方向に指数関数的に緩和していた.一方で,火口列から約2km東側にある青葉山西観測点のGNSSデータでは,ノイズレベルを超えるような変位は観測されなかった.観測された地殻変動の時間変化を本白根山の噴火によるものと考え,地下の変動源の推定を試みた.
まず,噴火に伴い形成された火口列の直下に鉛直ダイク仮定した場合の地殻変動をフォワードモデリングにより山体地形を考慮して求めた.その結果,逢ノ峰南東観測点では鉛直ダイクの深さが海抜よりも深くなると鉛直変位は下向きになることが分かった.さらに,水平変位の変化量が上下変位の変化量の比を説明するためには,鉛直ダイクの深さは標高1750 m,火口列からの深さ300 m程度の場所になる必要があることが分かった.この鉛直ダイクにより逢ノ峰南東観測点の水平変位量を説明するために必要な体積変化量は3×105 m3であった.
今後は,観測データの時系列変化の特徴や,より広域のGNSSデータについても検討を進める予定である.
草津白根山の本白根山では1月23日10時2分ごろに噴火が発生した.この噴火に先行して,9時59分ごろから火山性微動が発生していた.噴火後の観測で本白根山の鏡池の北側に新たな火口列が形成されたことが分かった.気象庁が草津白根山の火山活動を監視するために設置した逢ノ峰南東のGNSS連続観測点は噴火に伴い新たに形成された火口列から北に約500 mの位置にあった.この観測点で得られた30秒サンプリングのGNSSデータについてキネマティック解析をおこなった.その結果,微動の始まった9時59分頃から噴火の直前までに,北向きに約15cm,上向きに約7cmの変位が生じていたことが分かった.また,これらの変位は噴火発生後に逆方向に指数関数的に緩和していた.一方で,火口列から約2km東側にある青葉山西観測点のGNSSデータでは,ノイズレベルを超えるような変位は観測されなかった.観測された地殻変動の時間変化を本白根山の噴火によるものと考え,地下の変動源の推定を試みた.
まず,噴火に伴い形成された火口列の直下に鉛直ダイク仮定した場合の地殻変動をフォワードモデリングにより山体地形を考慮して求めた.その結果,逢ノ峰南東観測点では鉛直ダイクの深さが海抜よりも深くなると鉛直変位は下向きになることが分かった.さらに,水平変位の変化量が上下変位の変化量の比を説明するためには,鉛直ダイクの深さは標高1750 m,火口列からの深さ300 m程度の場所になる必要があることが分かった.この鉛直ダイクにより逢ノ峰南東観測点の水平変位量を説明するために必要な体積変化量は3×105 m3であった.
今後は,観測データの時系列変化の特徴や,より広域のGNSSデータについても検討を進める予定である.