[SVC41-P38] 新燃岳2017年噴火および本白根山2018年噴火で放出された火山灰の水溶性付着成分
キーワード:新燃岳、本白根山、火山灰、水溶性付着成分、火山活動評価
火山の噴火で放出される火山灰には火山ガスや熱水系に由来する成分が付着しており, その付着量や化学組成の分析は噴火機構や活動状態の推定に役立つ. 本発表では, 主に2017年10月の霧島山新燃岳噴火および2018年1月の本白根山噴火で放出された火山灰の水溶性付着成分について報告する.
霧島山新燃岳では2017年10月11日から17日未明にかけて断続的な噴火が発生した. 火山灰は10月11, 12, 14, 15, 16日に採取した. 分析の結果, 当該火山灰からは151~3620mg/kgのCl-, 17300~26500mg/kgのSO42-を検出し, Cl/Sモル比は0.022~0.40の範囲であった. 一般に, 水蒸気噴火によって放出された火山灰は付着量が多く, Cl/S比は低い. 新燃岳の2017年噴火火山灰からは多量の水溶性成分が検出された一方, Cl/S比は最大で0.40と, 低温型の水蒸気噴火で放出された火山灰のCl/Sモル比(0.2以下; 小坂ほか, 1983)よりも高く, 高温の火山ガスの関与が疑われた. なお, 付着成分のCl/S比は10月11, 12, 14日の間に0.31, 0.40, 0.40と推移し, その後は15日に0.055, 16日に0.022と減少した後, 翌17日未明に噴火が停止した. このCl/S比の推移は降灰量(産業技術総合研究所, 東京大学地震研究所, 防災科学技術研究所などによる)の推移と調和的であり, 火山灰付着成分のCl/S比分析が噴火活動のモニタリングに有効であることを示している.
本白根山では2018年1月23日に噴火が発生した. 当該火山灰から検出したCl-は2640mg/kg, SO42-は2530mg/kgであり, Cl/Sモル比は2.8であった. このCl/Sモル比は, 1976年噴火よりも高温のガスが関与したとされる1982年の草津白根山噴火で放出された火山灰の水溶性付着成分の範囲内にある(1976年噴火火山灰Cl/S = 0.002~0.19, 1982年噴火火山灰Cl/S = 0.04~2.98; 平林, 1984).
本発表では, 現在報告者らが進めている両火山灰の化学組成, 鉱物組成の分析結果についても公表予定である.
霧島山新燃岳では2017年10月11日から17日未明にかけて断続的な噴火が発生した. 火山灰は10月11, 12, 14, 15, 16日に採取した. 分析の結果, 当該火山灰からは151~3620mg/kgのCl-, 17300~26500mg/kgのSO42-を検出し, Cl/Sモル比は0.022~0.40の範囲であった. 一般に, 水蒸気噴火によって放出された火山灰は付着量が多く, Cl/S比は低い. 新燃岳の2017年噴火火山灰からは多量の水溶性成分が検出された一方, Cl/S比は最大で0.40と, 低温型の水蒸気噴火で放出された火山灰のCl/Sモル比(0.2以下; 小坂ほか, 1983)よりも高く, 高温の火山ガスの関与が疑われた. なお, 付着成分のCl/S比は10月11, 12, 14日の間に0.31, 0.40, 0.40と推移し, その後は15日に0.055, 16日に0.022と減少した後, 翌17日未明に噴火が停止した. このCl/S比の推移は降灰量(産業技術総合研究所, 東京大学地震研究所, 防災科学技術研究所などによる)の推移と調和的であり, 火山灰付着成分のCl/S比分析が噴火活動のモニタリングに有効であることを示している.
本白根山では2018年1月23日に噴火が発生した. 当該火山灰から検出したCl-は2640mg/kg, SO42-は2530mg/kgであり, Cl/Sモル比は2.8であった. このCl/Sモル比は, 1976年噴火よりも高温のガスが関与したとされる1982年の草津白根山噴火で放出された火山灰の水溶性付着成分の範囲内にある(1976年噴火火山灰Cl/S = 0.002~0.19, 1982年噴火火山灰Cl/S = 0.04~2.98; 平林, 1984).
本発表では, 現在報告者らが進めている両火山灰の化学組成, 鉱物組成の分析結果についても公表予定である.