[SVC41-P44] 霧島山新燃岳2011年噴火前に起こったマグマ溜まりの膨張と新燃岳火口直下で発生した火山性地震の関連性
キーワード:火山性地震、マグマ溜まりの膨張、火山噴火の準備過程
霧島火山群の新燃岳では,2008年8月22日に噴火した後,2010年3月~7月の一連の噴火活動を経て,2011年1月19日の小噴火及び26日以降の爆発的噴火を含む噴火活動活発化に至った.本研究では,この期間における火山性地震活動の推移とマグマ溜まりの膨張に起因すると考えられている地殻変動との関連性を議論する.
2008年8月の噴火直前から2011年1月における霧島火山群周辺の主な震源域は,新燃岳火口周辺直下,御鉢火口周辺直下,韓国岳の西方及び北方に広がる震源域である.なお,新燃岳の北東には,2008年5月に発生した有感地震以来活発化した深さ10km程度の震源域があるが,火山活動との関連性は不明である.
図(a),(b)は,霧島火山周辺で発生する地震活動のうち,新燃岳周辺で発生するもの((a) )と,韓国岳西方及び北方の震源領域で発生するもの((b))の日別頻度を表したものである.新燃岳周辺においては,2008年8月の噴火直前の群発地震活動以前は静穏であったが,8月19日より激しい群発活動が起こり,8月22日の噴火(水蒸気爆発)に至った.その後徐々に発生数は少なくなり,2009年5月頃の群発活動の後は一段と活動が低調になったが,2009年12月 には発生数が増加し,2010年の3月~7月の噴火活動(水蒸気爆発)が起こった.また,2010年9月~10月からは明らかに活動度が高まり,2011年の噴火活動活発化に至った.韓国岳西方及び北方の地震活動は,2008年8月の噴火以降目立つようになったが,時々まとめて発生するのが特徴である.やはり,2009年12月以降は発生頻度がやや高まったように見える.また,2010年9月~10月に新燃岳直下の地震活動が明らかに高まったことに同期して,この領域でも激しい群発活動が起こっている(9月18日に48,10月2日に20).震源域の時間変化については,2008年噴火直前の群発地震では震源域が浅くなっているのがとらえられているが,それ以降は,噴火直前の地震活動の活発化や震源域の系統的な変化は見られない.
図(c)は,国土地理院が観測している電子基準点のうち,えびの−牧園間の斜距離を示している.2009年12月より伸びているが,これは,韓国岳西方にあるマグマ溜まりの体積増加の結果と解釈されている.斜距離の伸び始めと地震活動の活発化が同期していることから,韓国岳西方におけるマグマ活動と関連していることが推察される.また,斜距離変動は,2010年9月~10月に様子が変わっているが,これと,韓国岳西方及び北方領域の群発活動,新燃岳直下の地震活動の活発化と同期しており,マグマ溜まりへのマグマ供給およびその変動,マグマの新燃岳への移動などと地震活動に強い相関があるようにみえる.2009年12月よりマグマ溜まりへのマグマ供給が始まったと同時に,マグマや火山ガスの移動による新燃岳直下への熱供給が開始され,火山性地震の活発化と,条件が整った時に水蒸気爆発を起こし,最後に2011年1月のマグマ噴火に至ったと考えられる.
2008年8月の噴火直前から2011年1月における霧島火山群周辺の主な震源域は,新燃岳火口周辺直下,御鉢火口周辺直下,韓国岳の西方及び北方に広がる震源域である.なお,新燃岳の北東には,2008年5月に発生した有感地震以来活発化した深さ10km程度の震源域があるが,火山活動との関連性は不明である.
図(a),(b)は,霧島火山周辺で発生する地震活動のうち,新燃岳周辺で発生するもの((a) )と,韓国岳西方及び北方の震源領域で発生するもの((b))の日別頻度を表したものである.新燃岳周辺においては,2008年8月の噴火直前の群発地震活動以前は静穏であったが,8月19日より激しい群発活動が起こり,8月22日の噴火(水蒸気爆発)に至った.その後徐々に発生数は少なくなり,2009年5月頃の群発活動の後は一段と活動が低調になったが,2009年12月 には発生数が増加し,2010年の3月~7月の噴火活動(水蒸気爆発)が起こった.また,2010年9月~10月からは明らかに活動度が高まり,2011年の噴火活動活発化に至った.韓国岳西方及び北方の地震活動は,2008年8月の噴火以降目立つようになったが,時々まとめて発生するのが特徴である.やはり,2009年12月以降は発生頻度がやや高まったように見える.また,2010年9月~10月に新燃岳直下の地震活動が明らかに高まったことに同期して,この領域でも激しい群発活動が起こっている(9月18日に48,10月2日に20).震源域の時間変化については,2008年噴火直前の群発地震では震源域が浅くなっているのがとらえられているが,それ以降は,噴火直前の地震活動の活発化や震源域の系統的な変化は見られない.
図(c)は,国土地理院が観測している電子基準点のうち,えびの−牧園間の斜距離を示している.2009年12月より伸びているが,これは,韓国岳西方にあるマグマ溜まりの体積増加の結果と解釈されている.斜距離の伸び始めと地震活動の活発化が同期していることから,韓国岳西方におけるマグマ活動と関連していることが推察される.また,斜距離変動は,2010年9月~10月に様子が変わっているが,これと,韓国岳西方及び北方領域の群発活動,新燃岳直下の地震活動の活発化と同期しており,マグマ溜まりへのマグマ供給およびその変動,マグマの新燃岳への移動などと地震活動に強い相関があるようにみえる.2009年12月よりマグマ溜まりへのマグマ供給が始まったと同時に,マグマや火山ガスの移動による新燃岳直下への熱供給が開始され,火山性地震の活発化と,条件が整った時に水蒸気爆発を起こし,最後に2011年1月のマグマ噴火に至ったと考えられる.