11:25 〜 12:05
[U05-06] JpGU刊行誌が存在感を高めるために必要なこと
★招待講演
キーワード:学術出版、国際化
私はEarth Planet and SpaceのEditorを2015年から、Journal of Geophysical Research Solid Earth(JGR-SE)のAssociate Editorを2015年から(2013年から2015年までGuest Editor)つとめている。また、私はAmerican Geophysical Union (AGU)が立ち上げたEarth and Space Science Open Archive (ESSOAr)のEditorも務めている。本講演では、私自身の経験を踏まえて、JpGUに関連するEPS・PEPS誌、とりわけEPS誌がより存在感を高めていくためには何が必要かについて私見を述べる。
JGRは1896年に創刊された雑誌であり、現在はSpace Physics, Solid Earthなど7つの分野に分かれて、それぞれの雑誌を発行している。JGRは地球科学業界を代表する雑誌であり続け、JGR-SE誌のインパクトファクターは約3.4である。また、JGRを同じくAGUが発行する雑誌として、1974年に創刊されたGeophysical Research Letters があり、この雑誌は、タイムリーな短い論文を取り扱っていて、インパクトファクターは約4.3である。EPSやPEPSの今後の目標としてJGR誌やGRL誌と同等もしくはそれ以上の存在感を持つ雑誌になること、というのは現実的なものであろう。
EPSの現在のインパクトファクターは約2.2であり、JGRやGRLには及ばない。EPSで東北地方太平洋沖地震の特集号が組まれた時にはインパクトファクターが3を越え、JGRを上回っていた時期もあることから、地震や火山噴火など顕著な地学イベントや顕著な学術的発展をテーマとした良い特集号を組むことは、雑誌の存在感をあげるのに大きな貢献をすることを示している。今後EPSがより存在感を増していくために必要なことを、JGR-SEとの比較を通して考えてみる。
まず、論文の受理率はEPSの54%に対してJGR-SEが48%と大差はない。また、投稿から受理までの平均日数も、EPS, JGR-SEともに約140日と大差がない。だが、投稿される論文の国別分布には大きな違いがある。JGR-SEは米国の学会の雑誌であるにも関わらず、責任著者が米国の機関である投稿は全体の25%にすぎず、中国の機関からの投稿(29%)を下回っている。なお、日本の機関からの投稿は全体の5%である。それに対して、EPSは全体の46%の投稿が日本の機関からであり、国別で2番目に多い中国の機関からの投稿(12%)の3倍以上である。また、EPSはEditor-in-ChiefおよびVice Editor-in-Chiefの3名が全員日本人であるのに対して、JGR-SEはEPSの(Vice) Editor-in-ChiefにあたるEditor(-in-Chief)7名のうち4名が米国外の機関の研究者である。さらに、EPSのEditor45名のうち、日本の機関に所属する者は半数を超える26名(58%)であるのに対して、EPSでEditorに相当するJGR-SEのAssociate Editorは70名のうち米国内の機関に所属する者は27名(39%)であり、半数以上が米国外からの研究者で構成されている。
このことから、EPSがより存在感を増していくためには、ボードメンバーの国際化および海外からの投稿をより促進していくことが必要と考えられる。そのためには、EPSの独自性を打ち出していく必要がある。その方法としては、1) 顕著な地学現象や顕著な科学的進展についての良い特集号を刊行する、2) データ・手法・機器開発などこれまで光が当たり難かったが科学的に重要な分野の論文の投稿を促進する、などがあげられる。とりわけ、日本の研究者が手法開発や機器開発に優れていることを考えると、後者の方針は有効であると考えられる。
JGRは1896年に創刊された雑誌であり、現在はSpace Physics, Solid Earthなど7つの分野に分かれて、それぞれの雑誌を発行している。JGRは地球科学業界を代表する雑誌であり続け、JGR-SE誌のインパクトファクターは約3.4である。また、JGRを同じくAGUが発行する雑誌として、1974年に創刊されたGeophysical Research Letters があり、この雑誌は、タイムリーな短い論文を取り扱っていて、インパクトファクターは約4.3である。EPSやPEPSの今後の目標としてJGR誌やGRL誌と同等もしくはそれ以上の存在感を持つ雑誌になること、というのは現実的なものであろう。
EPSの現在のインパクトファクターは約2.2であり、JGRやGRLには及ばない。EPSで東北地方太平洋沖地震の特集号が組まれた時にはインパクトファクターが3を越え、JGRを上回っていた時期もあることから、地震や火山噴火など顕著な地学イベントや顕著な学術的発展をテーマとした良い特集号を組むことは、雑誌の存在感をあげるのに大きな貢献をすることを示している。今後EPSがより存在感を増していくために必要なことを、JGR-SEとの比較を通して考えてみる。
まず、論文の受理率はEPSの54%に対してJGR-SEが48%と大差はない。また、投稿から受理までの平均日数も、EPS, JGR-SEともに約140日と大差がない。だが、投稿される論文の国別分布には大きな違いがある。JGR-SEは米国の学会の雑誌であるにも関わらず、責任著者が米国の機関である投稿は全体の25%にすぎず、中国の機関からの投稿(29%)を下回っている。なお、日本の機関からの投稿は全体の5%である。それに対して、EPSは全体の46%の投稿が日本の機関からであり、国別で2番目に多い中国の機関からの投稿(12%)の3倍以上である。また、EPSはEditor-in-ChiefおよびVice Editor-in-Chiefの3名が全員日本人であるのに対して、JGR-SEはEPSの(Vice) Editor-in-ChiefにあたるEditor(-in-Chief)7名のうち4名が米国外の機関の研究者である。さらに、EPSのEditor45名のうち、日本の機関に所属する者は半数を超える26名(58%)であるのに対して、EPSでEditorに相当するJGR-SEのAssociate Editorは70名のうち米国内の機関に所属する者は27名(39%)であり、半数以上が米国外からの研究者で構成されている。
このことから、EPSがより存在感を増していくためには、ボードメンバーの国際化および海外からの投稿をより促進していくことが必要と考えられる。そのためには、EPSの独自性を打ち出していく必要がある。その方法としては、1) 顕著な地学現象や顕著な科学的進展についての良い特集号を刊行する、2) データ・手法・機器開発などこれまで光が当たり難かったが科学的に重要な分野の論文の投稿を促進する、などがあげられる。とりわけ、日本の研究者が手法開発や機器開発に優れていることを考えると、後者の方針は有効であると考えられる。