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[U06-10] 台風の防災に向けた航空機による台風観測:T-PARCIIプロジェクトにおける超大型で非常に強い台風LAN(2017)の観測
キーワード:台風、航空機観測、ドロップゾンデ、熱帯低気圧、強度予測
台風に伴う暴風と豪雨は日本を含む東アジアの国々に甚大な災害をもたらす。台風災害の軽減には、台風強度の高精度推定と予測が不可欠である。また、これまでの多くの研究から、気候変動に伴い台風の強度が増大することが示されている。すなわち東アジアでは台風のリスクが増大していることが示唆されている。しかしながら台風のベストトラックデータには不確実性が含まれており、特に最強カテゴリーの台風の強度データは、1987年に米軍の航空機観測が終了ごろから大きな誤差が含まれている。さらに、台風強度予測にも過去20~30年にわたってほとんど改善されていないという問題がある。これらの問題を解決するためには、航空機を用いた台風の直接観測が不可欠である。本研究の主な目的は、台風の直接観測により台風の強度推定と強度および進路予測を改善することである。本研究では2017から2020年に台風の航空機観測を実施する。観測データは数値モデルに同化され強度予測の改善を目指す。主な観測領域は、台風が最大強度に達し、また、進路の転向がしばしば起こる沖縄の南海上である。2017年10月21日に超大型で非常に強い台風21号LAN(2017)が沖縄本島に接近し北上した。航空機観測は10月21日と22日に台湾のDOTSTARのチームと協力して実施された。この観測では台風21号の眼の中に入り、43,000ftからドロップゾンデ観測を実施した。また、台風の眼の壁雲の周辺でのドロップゾンデ観測を実施した。この観測では台風の強度推定および強度予測、進路予測の改善のための非常に重要なデータを取得することができた。