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[AAS04-07] スカイラジオメーターを用いた日本におけるエアロゾルの光吸収オングストローム指数の変動要因の解析
キーワード:エアロゾル、スカイラジオメーター、光吸収オングストローム指数
将来の気候変動の予測において、エアロゾルは最大の不確実性をもたらしている。その不確実性を低減させるためには、エアロゾルの光学特性の理解が不可欠である。主要なエアロゾルのひとつである有機エアロゾルや鉱物ダストは光吸収が弱いため、その放射強制力はほとんどの気候モデルで負とされてきた。しかしながら、近年の室内実験や観測から、特に紫外から可視域において強い光吸収性を有すエアロゾル(ブラウンカーボンなど)があることが分かってきている。このような光吸収の波長依存性を表す指標として光吸収オングストローム指数(AAE)があるが、その観測は限られている。このような状況の中、本研究では日本の多地点で長期間、エアロゾルの観測を行っているSKYNETの主にスカイラジオメーターのデータを解析した。我々が新たに開発した解析アルゴリズムパッケージ(SR-CEReS)を用いて、日本の6地域(千葉、福江、春日、宮古島、仙台、高山)のAAEを導出し、その変動原因を調べた。ブラックカーボンのAAEの理論値は1と考えられている中、本研究の解析結果ではAAEの年平均値は1.15~1.51の範囲の値を示し、紫外から可視域において強い光吸収性を有すエアロゾルが全6地点で存在することが分かった。また、都市域ではAAEが比較的高い値をとることが分かった。さらには、スカイラジオメーターと同時に実施した多軸差分吸収分光法(MAX-DOAS)による観測から得られた二酸化窒素や二酸化硫黄の濃度データを合わせて解析したところ、工場や製鉄所、船舶などからの排出がAAEの増加に寄与していることが示唆された。