16:30 〜 16:45
[AAS04-14] GOSAT TANSO-FTS TIRより導出された二酸化炭素濃度の上部対流圏および下部成層圏の変動解析
キーワード:温室効果ガス、成層圏対流圏間交換、GOSAT satellite
現在,成層圏の寒冷化が問題となっており,その原因として温室効果ガスの一つである二酸化炭素CO2濃度の上昇だと言われている.しかし成層圏におけるCO2濃度の全球規模での詳細はわかっておらず,またCO2の成層圏への流入口である上部対流圏及び下部成層圏(Upper Troposphere/Lower Stratosphere; 以後UT/LS)の濃度及び流入量や流入過程の詳細は明らかにされていない.
本研究では,温室効果ガス観測技術衛星GOSAT (Greenhouse gases Observing SATellite;通称「いぶき」) 搭載のフーリエ分光計 TANSO-FTS (Thermal And Near-infrared Sensor for carbon Observation – Fourier Transform Spectrometer) の熱赤外域 (Thermal InfraRed: TIR (Band 4 : 5.5∼14.3μm)) より導出されたCO2の鉛直プロファイルデータを用いて,特にUT/LS (250~150 hPa) のCO2濃度の季節・経年変化や季節内変動について詳細に調べることを目的とする.
解析に使用したデータはLevel 2 (version01.xx, 最新版) であり,解析期間は2010年1月から2013年12月までの4年間である. また本研究では比較のため,リトリーバル時に a prior として使用した国立環境研の大気輸送モデル (NIES-TM; Transport Model ver.5) と準一様格子全球モデルNonhydrostatic Icosahedral Atmospheric Model (NICAM)–based Transport Model (TM) から得られたCO2の全球鉛直プロファイルデータを使用した.
本研究により,CO2濃度のUT/LSにおける年増加率,季節・経年変化,アジアモンスーン域の季節内変動の詳細を示すことができた.特に経年変動では, 熱帯域でENSOに伴うCO2濃度の変動や, 季節内変動では積雲対流活動およびアジアモンスーンの高気圧性循環による水平移流の変動が明らかとなった.これらの結果は,航空機観測や大気球観測で観測できなかった領域および季節内の時間スケールでのCO2濃度の動態を明らかにするため,全球モデルの物理化学過程の検証に加え,それらの開発にも活用することができる.今後は,数値モデリングの観点から素過程の理解を深め,観測から得られたマクロな場とのリンクを明らかにすることで,気候変動予測において重要なUT/LSでのCO2濃度の動態解明につながることが期待される.
本研究では,温室効果ガス観測技術衛星GOSAT (Greenhouse gases Observing SATellite;通称「いぶき」) 搭載のフーリエ分光計 TANSO-FTS (Thermal And Near-infrared Sensor for carbon Observation – Fourier Transform Spectrometer) の熱赤外域 (Thermal InfraRed: TIR (Band 4 : 5.5∼14.3μm)) より導出されたCO2の鉛直プロファイルデータを用いて,特にUT/LS (250~150 hPa) のCO2濃度の季節・経年変化や季節内変動について詳細に調べることを目的とする.
解析に使用したデータはLevel 2 (version01.xx, 最新版) であり,解析期間は2010年1月から2013年12月までの4年間である. また本研究では比較のため,リトリーバル時に a prior として使用した国立環境研の大気輸送モデル (NIES-TM; Transport Model ver.5) と準一様格子全球モデルNonhydrostatic Icosahedral Atmospheric Model (NICAM)–based Transport Model (TM) から得られたCO2の全球鉛直プロファイルデータを使用した.
本研究により,CO2濃度のUT/LSにおける年増加率,季節・経年変化,アジアモンスーン域の季節内変動の詳細を示すことができた.特に経年変動では, 熱帯域でENSOに伴うCO2濃度の変動や, 季節内変動では積雲対流活動およびアジアモンスーンの高気圧性循環による水平移流の変動が明らかとなった.これらの結果は,航空機観測や大気球観測で観測できなかった領域および季節内の時間スケールでのCO2濃度の動態を明らかにするため,全球モデルの物理化学過程の検証に加え,それらの開発にも活用することができる.今後は,数値モデリングの観点から素過程の理解を深め,観測から得られたマクロな場とのリンクを明らかにすることで,気候変動予測において重要なUT/LSでのCO2濃度の動態解明につながることが期待される.