日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS04] 大気化学

2019年5月30日(木) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、岩本 洋子(広島大学 生物圏科学研究科)、豊田 栄(東京工業大学物質理工学院)、江口 菜穂(Kyushu University)

[AAS04-P33] 南米最南端部リオガジェゴスにおける2015-2017年のミリ波成層圏オゾン観測

*水野 亮1關 博則1長浜 智生1大山 博史2Salvador Jacobo3Orte Facundo3Wolfram Elian3 (1.名古屋大学宇宙地球環境研究所、2.国立環境研究所、3.レーザー応用技術研究所, UNIDEF アルゼンチン)

キーワード:オゾンホール、ミリ波分光、南米、極渦

我々は2013年から5年間、JST-JICA SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力)プログラムの下でチリ・アルゼンチンとの国際共同プロジェクト SAVER-Netプロジェクトを進めてきた。このプロジェクトでは、先端的観測施設の空白域である南米地域での地上大気観測網、特にオゾン・紫外線およびエアロゾルの観測網をアルゼンチンおよびチリとの国際協力の下で整備した。南米南端部はオゾンホールがしばしば到来し、地域住民への健康影響が懸念されており、プロジェクト終了後もオゾンホール/紫外線量予測のための共同研究を進めている。

今回は南米大陸南端部に位置するアルゼンチン・リオガジェゴスの南部パタゴニア大気観測所(OAPA)に設置した名古屋大学のミリ波分光計によるオゾン観測の解析結果について報告する。解析期間は2015年4月から2016年3月と2016年9月から2017年8月の期間で、悪天候や装置トラブルを除いて約9400の1時間平均オゾン高度プロファイルを得た。オゾンホールが到来する9月および10月についてMERRA-2気象場再解析データから導出した温位、渦位、気温等と高度毎のオゾン混合比を比較した。

その結果、

・温位1000K(高度〜35 km)以下では、渦位の絶対値とオゾン混合比の相関が高い。

・オゾンホールの到来に伴い、高度~25kmでは極渦空気塊の移流に伴い気温の減少、高度〜35km以上では極渦の下降流に伴う気温上昇がみられる。

等の特徴が明らかになり、渦位の絶対値と気温で簡便にオゾンホール内に入ったかどうかの識別が可能であることを明らかにした。

 発表では、史上3番目の面積を記録した2015年と2016年のオゾンホールをリオガジェゴスという定点から観測した場合の特徴について詳しく議論する。