日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC26] アイスコアと古環境モデリング

2019年5月28日(火) 09:00 〜 10:30 201B (2F)

コンビーナ:植村 立(琉球大学 理学部)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、竹内 望(千葉大学)、座長:植村 立(琉球大学)、大藪 幾美(国立極地研究所)

10:00 〜 10:15

[ACC26-05] 中央アジアパミール山域で掘削された浅層アイスコアのダストの鉱物構成の分析

*竹内 俊介1竹内 望1藤田 耕史2川村 賢二3對馬 あかね2Vladimir Aizen4 (1.千葉大学、2.名古屋大学、3.国立極地研究所、4.アイダホ大学)

キーワード:氷河、アイスコア、ダスト、有色鉱物、鉱物組成、パミール

アイスコア中に含まれるダスト(鉱物粒子)は、過去の大気循環や乾燥度を示すプロキシーとして用いられている。ダスト研究の多くは、ダストフラックスやダスト粒径分布に注目するものがほとんどであるが、ダストを構成する鉱物の種類や組成について分析された例は少ない。ダストの種類や組成は、その起源や輸送過程を反映するので、その分析によってより詳細なダストの供給源や大気循環変動の解析ができる可能性がある。そこで、本研究では、2016年8月に中央アジア・キルギス共和国パミール山域で掘削された深さ約7 mの浅層アイスコアを用いて、光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡を使って各層のダスト分析を行った。
ダスト粒径の小さいもの(粒径d,1<d ≦15 μm)、とダスト粒径の大きいもの(d >15μm)に分け、ダスト濃度を比較したところ、それぞれ異なる深度にピークが現れた。また、ダスト粒径の小さい層では,黄色い有色鉱物の割合が比較的高く、ダスト粒径の大きい層では、赤色鉱物の割合が比較的高いという違いが見られた。さらに、電子顕微鏡によるダストの元素分析から、ダスト粒径の大きい層には,パミール特有の地質である石灰岩を起源とする方解石が含まれることが明らかになった。以上の結果から、本研究で分析したパミールの浅層アイスコアでは,ダスト層に含まれるダストの種類や組成は、一様でないことが明らかになった。ダスト層には、方解石及び赤色鉱物を含む近距離輸送ダストで構成されるものと、それらを含まない長距離輸送ダストで構成されるものがあることが示唆された。