日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC26] アイスコアと古環境モデリング

2019年5月28日(火) 10:45 〜 12:15 201B (2F)

コンビーナ:植村 立(琉球大学 理学部)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、竹内 望(千葉大学)、座長:竹内 望(千葉大学)、川村 賢二(国立極地研究所)

10:45 〜 11:00

[ACC26-07] 南極氷床コアに眠る古代菌類の分離

★招待講演

*辻 雅晴1 (1.情報・システム研究機構 国立極地研究所)

キーワード:アイスコア、古代菌類、南極

1500万年前の南極大陸は、現在より11℃以上気温が高く、ブナ類や針葉樹の林があったとされている1。現在の南極大陸に生息している菌類は、南極以外では高緯度北極やアルプス山脈、ヒマラヤ山脈など低温で樹木が生息していない地域からしか発見されていないことから、現在南極大陸に生息している菌類はそれ以降に定着したと考えられている。しかし、南極大陸に生息している菌類の起源は、大気輸送によって他の大気中微粒子(エアロゾル)と共にパタゴニア氷河から運ばれたという説もあるが、依然として不明な点が多い。というのも、菌類は死亡すると自己消化することから、化石として発見されることは殆どないため、南極大陸に生息している菌類の祖先がどこからやってきて、どのように氷点下という菌類にとって生命活動の維持が困難な環境に適応し進化してきたのかは不明なためである。

そこで本講演では、南極産菌類の起源と進化を解明するため、南極の氷床コアに眠っている古代菌類を分離する取り組みについて紹介したい。