日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG40] 沿岸海洋生態系─1.水循環と陸海相互作用

2019年5月28日(火) 10:45 〜 12:15 102 (1F)

コンビーナ:藤井 賢彦(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、山田 誠(龍谷大学経済学部)、小路 淳(東京大学大気海洋研究所)、杉本 亮(福井県立大学海洋生物資源学部)、座長:藤井 賢彦山田 誠

11:30 〜 11:45

[ACG40-09] ブルーエコノミーの推進および沿岸地域社会のレジリエンス強化に資するブルーカーボン生態系からの多様な便益

*渡邉 敦1 (1.笹川平和財団 海洋政策研究所)

キーワード:ブルーエコノミー、ブルーカーボン、海草藻場、サンゴ礁

海草藻場やマングローブ林といったブルーカーボン生態系は、適切に管理することで気候変動緩和に貢献することが期待され、国際的にも関心が高まっている。これらの生態系に密接に関係するサンゴ礁も含めて広義のブルーカーボン生態系(Blue Carbon Ecosystems以下BCEs)と定義すると、BCEsは沿岸地域社会にとって気候変動の影響を低減することや環境を調整すること等を通し、地域のレジリエンス強化に貢献すると考えられる。具体的にはをBCEsを活用した防災・減災(Eco-DRR)機能、養殖・漁業に適した環境の創出、持続可能な観光の提供、教育の場としての利用により、地域振興やレジリエンス強化に繋がる。沿岸地域に安心・安全で循環型な社会を実現することは、近年国際的に注目が高まっている持続可能なブルーエコノミーの目的の一つでもある。

本発表では、日本の岡山県備前市や沖縄県恩納村、太平洋島嶼国のパラオでのBCEsの活用に関する優良事例を紹介する。日本の事例では、地域の漁業者を主体に海草藻場やサンゴの再生を実施し、その結果カキやモズクの養殖業が安定したと言われている。また両地域とも地域内外の様々なステークホルダーと連携し、保全活動を継続している。パラオではサンゴ礁をはじめとする自然環境が観光客を呼び込んでいるが、この観光客から徴収する環境税の活用により保護区の保全活動等に取り組んでいる。こうしたBCEsへの保全等の取組に投資することが、どの程度地域社会の経済振興に結び付き得るかについて、本発表では紹介する予定である。